【半忘備録】自衛隊の演習場訓練について

訓練風景 自衛隊

状況終了

 ここまで色々と紹介しましたが、予定されている訓練終了時刻まではひたすら状況を出され続けます。

 しかし、山でやる訓練の最後は決まって対空警報です。
 これはダチョウ倶楽部が喧嘩をしてチューして仲直りするくらいのお約束です。
 また、重機関銃の空砲を全て消化する意味もあると思います。

 指揮所から「状況終了」の連絡を受けて声高らかに

 「状況終了!!!」

 と叫ぶ瞬間は、最高に気持ちが良いです。

撤収

 まだ状況が終わっただけで訓練は終わっていません。
 有線の回収、天幕の撤収などがありますが、掩体えんたいの埋め戻しや陣地の痕跡こんせきの消去が大変です。

 地面を掘ると、掘り返した土を完璧に元に戻しても必ず凹んでしまいます。
 踏み固めると天然の状態よりも土の密度が高くなるため仕方ないのですが、このままだと痕跡が残ってしまうため植生しょくせいを行います。

 植生しょくせいというのは、辺りの草が生えている土をブロック状に切り出し、掩体えんたいの跡に根付くように植える事です。

 撤収が終わったら点検を受けるのですが、点検時にやたら強く草を引っ張られるので、しっかり植えないとやり直しになってしまいます。

 植生しょくせいも数日程度では植生した事がバレてしまいますが、数週間もすれば草が伸びかなり自然な感じになっていきます。

 また、泥の上を重い車両が走ると、わだち(タイヤ痕)がそこら中に残ってしまいます。
 わだちをそのままにしておくと、その場所にいた部隊の規模やどんな車両が居たか分かってしまうので、全てエンピで潰していきます。

 侵入時に土がぬかるんでいて、その後の訓練期間に晴れが続くと、わだちが残ったまま泥が乾いて固まってしまいます。
 土壌が粘土質だと非常に硬くなるので、崩すだけでも一苦労です。

 しかし、自衛隊内でよく言われる言葉で「撤収早い自衛隊」というものがあるように、本当に撤収は早いです。
 数日かけて構築した陣地を、ものの数時間で片付けてしまいます。

帰隊

 撤収が終わり点検に合格したら、駐屯地に向け帰隊します。
 3夜4日以上の場合は基本的に管理野営があるのですが、2夜3日なら大体そのまま帰隊します。

 管理野営:帰りの運転で疲労による居眠り運転などのリスクを下げるため、演習場に1泊して隊員を休ませる事。

 自衛隊の車両は、必ずドライバーと車長の二人が居ますが、管理野営無しで帰隊する際は二人とも限界が近い為、下品な猥談をしたり、ひたすら訓練の思い出について喋ったり、携帯式のスピーカーで音楽を爆音で流したりして居眠りを防止します。

まとめ

 思い出しながら書いたので多少の抜けや、保全上まずそうな部分は省いたりしましたが、山の流れは殆どカバーできたと思います。

 訓練内容によっては訓練中に2時間程度の仮眠などがある場合もありますが、2夜3日だと訓練期間が短いので仮眠は殆ど有りません。

 訓練期間が長くなるほど仮眠もちゃんと取らせて貰える傾向がありますが、ベッドやスリーピング(寝袋)が使えるわけではなく、毛布を地面に敷き毛布を掛けて寝る程度です。

 また、どんなに訓練期間が長くても管理野営以外で入浴は出来ませんので、ヘルメットを被りっぱなしの頭は凄く痒いですし、何日も同じ靴を履きっぱなしで汗まみれの足は物凄く臭くなります。
 冒頭でも言いましたがこの記事を読んでいる自衛官のご家族様は、訓練後に帰ってきたお父さんがメチャクチャ臭くても、精魂尽き果てるまで訓練で頑張って帰ってきているので優しくしてあげて下さい。

 自衛官は、こんなに大変な訓練を年に何度もしなければいけないので本当に大変です。
 今回は山の訓練の全容を書いた記事でしたので、訓練の思い出話などは別に書いていこうと思います。

 超長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。

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