自衛官の給料は額面だけ見たら悪くはないですが、勤務内容に見合う金額かと言われたら微妙です。
自衛隊の入隊希望者向けプレゼン資料から抜粋したものがこちらになります。
定年が50代前半と若い事や、警衛や当直等の特別勤務による拘束時間と見合う金額かと言われれば安いと言わざるを得ません。
自衛官の平均年収は、一握りの高級幹部を除き大体年収280~750万程度に収まります。(各種手当込み)
よく「公務員の平均給与は686万円!(※令和元年発表の数字)」というニュースがありますが、この数字はどういう母集団から取った平均値なのか全くわかりません。
本当に全公務員の集計結果なら、恐らく国会議員、裁判官、外交官、各省庁のトップクラスの1000万~2000万プレイヤーの方々のせいで大幅に引き上げられています。
この平均値へは定年前でやっと届く金額だと思ってください。
給料ってどうやって決まるの?
自衛隊の給料は、主に階級と号俸から決められています。
右に行けは行くほど給料は上がりますが大きく変わるのは1佐以上からで、2佐以下は少しずつしか変わりません。
将補以上にもなれば1000万プレイヤーはカタいですが、陸上自衛隊14万人の内100人も居ない狭き門です。
号俸というランクが1~145まであり、普通の人は毎年2上がります。
(2上がると階級によって月2,000~6,000円くらい)
頑張った人は号俸が4上がったりしますが、どんなに頑張り続けても2年連続で上がる事は無く、順番で回す実態があります。
階級が上がった時は、階級が上がる前の額面より1つ高い号俸になります。
また、自衛官の給料には基本給の中に残業手当に相当する分が含まれていて、月に何十時間残業をしても残業手当は1円も出ません。
残業が無いポストに就ければ貰い得ですが、残業が月100時間を超えるようなポストでも同一階級、同一号俸なら給料は同じです。
別に記事を作成する予定ですが残業月100時間超の部署はザラにあります。
民間でも存在する仕事だと差が分かり易いのですが、自衛隊で車両の整備をやっている後輩が転職し、ディーラーで同じような仕事を同じくらい残業したら毎月の給料が25万→48万になったと喜んでいました。
人事院勧告による民間との差額の調整
人事院勧告という言葉は聞き慣れない方も多いと思いますが、人事院という公務員の労働組合のようなものが政府に対して「公務員の給料をこうした方が良いよ!」と意見する事です。
内容をざっくり説明すると「社員50人以上の会社の4月の給料を参考にして公務員の給料を上げたり下げたりします」ということになります。
余り詳細に説明すると本旨から逸れるので、気になる方はこちらで細部を確認してください。
国家公務員は一般職と特別職の2種類あり、人事院勧告は一般職を対象にしているのですが特別職も参考にして給料を調整するので事実上は対象となります。(自衛官は特別職国家公務員)
金融危機や大規模災害の後はどうなの?
もちろん下がります。今回のコロナでも相当下がるでしょう。
ただし、上記の通り4月の給料を参考に年末頃調整するので下がるまでタイムラグは有りますが間違いなく下がり、1年は上がりません。
コロナで1番慌ただしかった時期と調査の時期が被ったため、令和3年度の月給は据え置かれましたが令和4年の月給は下方修正不可避でしょう。
1番辛くて目立つ時に下がらないので文句を言われ、ピークを過ぎ関心が無くなった頃に下げられるため一般の人からは下がっていないように見えるだけです。
まとめ
私は東日本大震災の時に現地に赴きそこそこの災害派遣手当を頂きましたが、次の年は減収がキツかった思い出があります。
米軍人にこの話をすると「おいおい何の冗談だ?つくならもっとマシな嘘をつけよ」「危ない事したのに給料減らされるとかありえないだろ」と言われます。
自衛隊は憲法的にも扱いが微妙なため、仕方なく国家公務員という枠に収まっていますがその枠にいる限り他の事務職の公務員と同様の扱いを受けざるを得ません。
公務員の枠から外せとまでは言いませんが生命の危険を伴う仕事であるため、もう少し金銭面で優遇されてもいい職業だと思います。
会社員並みの給料であなたは命を懸けられますか?