営内隊舎からの飛び降り
民間でも自殺=飛び降りというくらいメジャーですが、自衛官の営内者は特にこれが多いです。
今のご時勢では自衛隊も例に漏れず、屋上は鍵がかかっていて出られないようになっているのが普通です。
しかし建物は4階以上の事が多く、窓も大きく開くようになっているのでそこから身を投げます。
これは某駐屯地の二人落ちている窓です。
その内の一人は私の知り合いでした。
また昔は酒癖が非常に悪い隊員も多く、酔っ払って非常階段で足を滑らせて転落事故というパターンも多くありました。
最近はあまり酒を飲まない隊員も多く転落事故は減ってきましたが、全国の駐屯地にある営内隊舎で飛び降りや転落事故が起きていない所は無いと言い切れます。
これらを予防するために、窓が途中までしか開かないようにする事や、手すりの設置などを進めて欲しいのですが、予算不足のために中々進めてくれません。
乾燥室での首吊り
こちらも世間的にメジャーな手段となっています。
営内隊舎に高さが無い駐屯地や、積雪地の部隊に多いパターンです。
営内隊舎の天井は高いのですが、石膏ボード製で脆いため、ちょっとした衝撃や負荷で壊れてしまいます。
営内隊舎内には乾燥室という常に温風が出ている部屋があり、洗濯物を干すために鉄骨の骨組みにワイヤーが通してあります。
この鉄骨で首を吊る事が多いのですが乾燥室には常に大量の洗濯物が干されていて、首を吊った隊員は大量に吊るされた洗濯物に紛れる形になるため至近距離まで気付かず、第1発見者のトラウマになる事が有ります。
首吊り事案があった部隊の当直は、消灯後に乾燥室も巡察するようになるパターンが多いのですが、消灯後は電気をつけられない為真っ暗闇の中洗濯物をかき分け確認します。
現職中に、実際に事案が起きた現場を夜間に電気もつけず巡察させられ『もしかき分けた物が洗濯物じゃなかったら…』そんな事を考えながら巡察をしていましたが、私は1度も見る事無く終えられたので良かったです。
乾燥室は無いと困るため閉鎖する訳にもいかず、予防には隊員のメンタルケアなどの根本的な解決が求められます。
弾薬庫歩哨の発砲自殺
自衛隊ならではですが、本題に入る前に言い訳からさせてください。
現役や元自の人から「それ話して良いんか?!」と言われそうですが大丈夫です。
過去にニュースの記事になった形跡もありましたし、陸上自衛隊服務細則にもこう書かれています。
(警衛の交代)第 133 条 2項 5号
陸上自衛隊服務細則
上番歩哨係は、歩哨を引率して下番歩哨係とともに哨所に至り、上番歩哨に下番歩哨から守則その他必要な事項の申継ぎを受けさせる。
この際、歩哨の携行する弾薬については、自ら員数点検を行うものとする。
歩哨係の引率で、歩哨が上下番の際に弾薬を受け渡す事について明記されています。
この規則はネットで公開されているため、歩哨が弾薬を持っている事について記事を書くのは合法です。
そんな弾薬庫歩哨ですが、弾薬庫は駐屯地内でも目が届きにくい場所にあるため自殺以外にも事案が多いです。
ネットニュースなどの記事は期限切れなどで削除され殆ど残っていませんが、弾薬庫では実弾を使用した自殺が起きています。
21歳陸自隊員が小銃自殺 千葉の駐屯地 [2008/07/30 共同通信]
メンタルヘルス労働者支援センター資料「自衛隊員の自殺が止まらない」
30日午前2時20分ごろ、千葉市の陸上自衛隊下志津駐屯地の簡易トイレで、男性1等陸士(21)が頭から血を流して死んでいるのを同僚隊員が見つけた。
近くに自動小銃1丁と薬きょう10発が落ちていた。直前に発砲音がしており、陸自警務隊は自殺とみて動機を調べている。
防衛省陸上幕僚監部によると、1等陸士は30日午前1時半から同僚と2人1組で弾薬庫の警備を担当。勤務途中でトイレに入り、自殺を図ったとみられる。
下志津駐屯地はミサイルの知識を学ぶ高射学校があり、1等陸士はその支援部隊の高射教導隊に所属。陸幕によると、最近10年間に隊員が小銃で自殺を図ったのは、未遂の1件を含めて5件目という。
フィクションでよく見かける拳銃をこめかみに…ではありません。
歩哨が持つのはアサルトライフルという長い銃なのでやや難しいです。
しかし、威力を考えると進撃の巨人のあのシーンのように銃口を口内から脳に向けて突っ込んで引き金を引けば、痛みを感じる間もなく1発で逝けると思います。
最近は自殺予防の為に複数人で就く事が多いので減っていますが、過去に人が亡くなっている2畳ほどの空間で1日勤務しなければならないのは正直気分のいいものではありません。
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