実際どれくらい多いのか?
現役時代に、年間何人が服務事故を起こしたとか、何人自殺したとかの資料を教育の度に見た記憶があるのですが、内部資料だったようでネットからは出てきませんでした。
公開されている資料で比較できた年が平成26年度ですが、高めではあるものの自衛官という職業が特段高いという結果にはなっていません。
警察庁生活安全局生活安全企画課 平成26年中における自殺の状況
警察資料で26年度の自殺者全体に対する警察・自衛隊・消防等の自殺者数の割合は139人で0.55%となっていますが、産経ニュースで自衛官の自殺者は66人となっているので自衛官のみだと0.26%と低い割合になります。
しかし、この資料は単年度の自殺人数をカウントして職業別に分類した資料なので、人数差を計算に入れなくてはなりません。
ここからは下記の条件のため、男性のみの数字で計算していきます。
①自殺率は男女別に見た場合、男性が有意に高いため。
②自衛隊の男性比率は当時95%、ほぼ男性で構成されていたため。
③女性自衛官の自殺人数が不明なため。
資料によると、管理職を含めて約600万人いる男性会社員の自殺者は726人、約23万人いる自衛官の自殺者は66人となりました。
人数比がおよそ26倍なので自衛官がサラリーマン並みにいた場合、年間の自殺者は1,716人となります。
つまり、自衛官は普通のサラリーマンの約2.4倍自殺リスクの高い職業という事になります。
最後に
私自身、計算してみて改めて高い数字だと思いました。
陸自は14万人もいるので、現職中に死亡報告を聞く機会は多くありました。
隊員が死ぬと「隊員死亡通知書」という物が全国の部隊に回覧され「1等陸曹 防衛 太郎は入院加療中のところ逝去したので通知する」などと、ある程度の情報が書かれているのが普通です。
それが「○○は逝去したので通知する」だと、自殺か事故を伝えるものとなっていて「あっ…(察し)」となります。
しかし、そのうち慣れていき「またか…」程度の感想しか出てこなくなるくらい、自衛隊ではありふれたものとなっています。
自衛隊では昔からいじめによる自殺や過労死、事故死等でどこの駐屯地でもそれなりの死人が出ています。
いじめや各種ハラスメント、厳しい制限や訓練、超長時間労働などの非常に過酷な労働環境で、自殺者が出ない方がおかしいと思いますがこの数字の高さはちょっと異常だと思います。
自衛官は、辞めたくなっても退職するまで数ヶ月という期間がかかるのでその間は勤務しなければならず、労働者としての権利が無いため「退職の意思を示せば2週間以内に退職」というのは弁護士が介入しても非常に難しいです。
嫌になって隊員が脱柵や失踪をすると大変です。
脱柵…駐屯地在住の隊員が駐屯地外に不正に逃げ出す事。
脱柵についてここで話すと長くなるので、専用の記事を読んでみて下さい。
このすぐに退職できない制度を改善するだけでも大分違うと思うのですが、自衛隊が自ら改善する事は恐らくないでしょう。
外部から強制的に介入して改善しなければならない程、自衛隊の自浄作用は失われていて、そのために隊員が犠牲になっているのが今の自衛隊の現状です。
正確な人数は出ていませんが、自殺だけでなく自衛隊は鬱などの精神病にかかる隊員も多いので、自衛隊が変わらなければ防衛基盤は脆くなる一方です。
自衛隊には、一日でも早く隊員を使い潰している現状を改めて頂きたいです。
最後まで読んで頂き有難うございました。
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