このテーマ自体は昔から色々とあったようですが、令和3年2月25日のニュースで一気に現実味を帯びる事となりました。
ニュースの詳細はどうでも良いよって方は目次から飛んでください。
中国海警局船への危害射撃可能
一部抜粋すると、概ね下記のような解釈で射撃を行うようです。
中国海警局の船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)への接近・上陸を試みた場合、重大凶悪犯罪とみなして危害を与える「危害射撃」が可能との見解を示した。
政府、中国海警局船への「危害射撃」可能と説明 自民部会で
国際法上は、他国の領域内であっても外国軍艦・公船には特別な法的地位が認められる「主権免除」の原則があり、危害射撃は原則として「正当防衛・緊急避難」に限定される。ただ、国連海洋法条約では領海内で外国公船が「無害でない通航」を行う場合、「必要な措置」を取ることができるとしている。
海上保安庁の武器使用については海上保安庁法20条に規定があり、1項で警察官職務執行法7条を準用するとしている。7条は凶悪犯罪に対する武器使用を認めており、今回の危害射撃はここに依拠する。
中国海警局公船の領海侵入が常態化している事を踏まえ、国内向けの説明として「重大凶悪犯罪とみなして射撃をする」という見解を示し、国外向けには「尖閣諸島への極端な接近や上陸を無害でない通航と認定し射撃をするぞ」という事です。
また、中国海警局は一応警察扱いの組織ですが、人民解放軍の隷下組織で軍属です。
建前上はギリギリ警察ですが実質は海軍のようなものとなっています。
日本は慣れてしまった感がありますが、事前通達も無しに同盟国でもない外国軍艦が領海内に侵入してくる事や上陸を試みるなど、通常ではありえない事態です。
だいぶ脱線してしまったので本筋に戻ります。
国内法&国際法的には射撃は合法だったとしても、一度射撃してしまえば日本と中国は緊張状態になってしまいます。
そうなった時に「俺、戦争するの嫌だし辞めよ」で退職できるかどうかを解説します。
自衛官は有事の際に退職できるか?
結論から言えばノーです。
自衛隊法に根拠となる規定があります。
(退職の承認)第四十条
自衛隊法
第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
政令で定める特別の事由とは下記の通りです。
(退職を承認する特別の事由)第五十四条
自衛隊法施行令
法第四十条に規定する政令で定める特別の事由は、当該隊員が退職しなければ配偶者又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条の規定により扶養すべき親族を扶養することができないと認められるやむを得ない事由がある旨の市町村長(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区長又は総合区長。第八十八条第一項(第百二条の二において準用する場合を含む。)及び第八十九条第一項(第百二条の三において準用する場合を含む。)において同じ。)の証明があつたときとする。
私自身、「後任が確保できるまで」や「後任がもう少し育ってから」などの理由で、退職したい旨を申し出てから退職まで一年弱かかりました。
そこそこの職に就いていましたが、流石に1年弱拘束するのは規則を拡大解釈し過ぎだと思います。
平時でもこんな有様の自衛隊が、戦争の危機ともなればどうなるか目に見えています。
「手続きに時間がかかる」「方面総監部や陸幕で止まってるみたいでさ~」等とのらりくらりと引き延ばし、緊張状態が高まってきたら「現在の情勢では退職を承認できない」なんて事を言いだすでしょう。
ちなみに、駐屯地から無断で抜け出す「脱柵」というものがあります。
最後まで逃げ切る隊員もいるようですが、殆どの隊員は捕まります。
脱柵に関して詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみて下さい。
正規の手段では辞められず、非正規の手段では多大なリスクを伴うため退職は困難を極めます。
米中の対立、中国の東南アジアや尖閣諸島の侵略、ちょっかいを出してくる面倒臭い半島など、現在の世界情勢は安定しているとは言えず、自衛隊に入隊するには覚悟が必要な時代となってきています。
この記事を読んでいる貴方がもし入隊を検討しているなら、よく考えて覚悟を決めてから自衛隊の門を叩いてください。