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防衛大学校の待遇&生活とは

防衛大学校校章

 防衛大学校ってご存じですか?

 大学受験の時に少しくらいは耳にした事が有る人も多く、漫画にもなりましたが、漫画の内容はかなり脚色されていて殆どアテになりません。

 そこで、今回は防衛大学校に入るとどんな生活を送るのかご紹介します。

防衛大学校(防大)とは

 一言でいうと防衛省が運営する大学です。現代版の陸軍士官学校ですね。

 神奈川県にあり京浜急行の馬堀海岸駅が最寄りで、文科省所管の学校ではありませんが卒業すると大卒資格も貰えます

 また、定員の1割程度ですが女性も入学できます

 防大に入ると俗にエリートとか出世組と呼ばれる採用区分で、自衛隊の中の公務員試験の1級(総合職)みたいなものです。

 将来の自衛隊を担う人材として育成され、部隊配属後はどんどん出世します。

 卒業すると九州の幹部候補生学校で9ヶ月間、戦術等のさらに深い分野を学びそれぞれの任地に配属された後、3ヶ月の部隊研修を経て3等陸尉に任官します。

待遇

 4年間学生手当(毎月117,000円、ボーナスとして6,12月に397,800円)が支給されますが、手取りは月8万ボーナスは25万くらいです。

 全寮制(強制)ですが家賃も食費も学費もかかりません

 ちなみに一応公務員扱いなので収益化されたブログやYouTubeの運営、アルバイトや兼業などは出来ません。(やってる暇もありませんが)

 バレなければ良いだろうと黙っていても支給額が全員一律のため、社会保険料や住民税などの金額が同期と異なると非常に目立つのでバレやすく、バレたら懲戒処分となります。

 また、自衛隊に入れば免許がタダで取れるという話もありますが、幹部自衛官は職務で運転する事が無いため、幹部を育成する防大に入ると運転免許は自衛隊では取らせて貰えません。

 自衛官に共通する事項ですが、自衛隊病院を受診すれば医療費はかかりません
 しかし、防大生が通う事になる自衛隊横須賀病院は未熟な医者が多く、CTもロクに見られない医者が多くて、良い評判を聞いた事が有りません。

授業や訓練

 4年間大学生としての科目+自衛隊の規則や戦闘に関する勉強をします。
 ちょっとした訓練は毎週、1週間通し規模の訓練が期に1回、1ヶ月通しの訓練が年1回くらいあります。

 体力検定というものが年に1回あり種目は①腕立て伏せ②腹筋③3,000m走があるため、入学時に体力や筋力が余り無い人はかなり大変です。

 合格基準などについてはコチラの記事をご覧下さい。

 腕立伏せと腹筋は2分で50回弱程度、3,000m走は14分35秒で合格ですが、最低合格基準だと怠け者扱いされるため、もっと上を目指さなければなりません。

 また、運動系の部活に必ず入らなければならないため、勉強と部活を両立出来るだけの体力が求められます。

隊内での私生活

 8人部屋が割り当てられるのでトイレ以外は24時間誰かと一緒にいる生活になり、一人の時間が好きな人は物凄くストレスを感じる環境です。

 上級生に絶対服従かつ上級生と同室で過ごさなければならないので、縦社会や体育会系のノリが嫌いな人のストレスは半端ではありません。

 念のため書いておきますが、女性と男性の私生活をする建物は完全に分かれているため、深夜に襲われたりする事はありません。(授業や訓練は合同)

 髪型は短髪が基本で、女子でも纏めた時に小さいお団子程度までです。
 男女ともに髪の毛が長いと上級生に目を付けられ色々とやりにくくなるので、伸ばす人はほぼいません。

 制服や迷彩服は支給されますが、制服や迷彩服を着る時に必要な肌着、靴下、迷彩Tシャツなどや、洗剤、歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸、シャンプー&リンス、靴磨き用の靴墨などの消耗品は自分で買い揃える必要があります。

私物の所持

 上記の通り8人部屋のため、一人あたりのスペースは非常に狭い事もあり私物類の所持は特に制限が厳しいです。

 禁制品
 危険物:刃物、ガスガン、有機溶剤類
 大型物品:ギター等の楽器類、テレビやデスクトップ型PCなど
 車両:自転車、自動車、バイク

 また、携帯は持てますがWi-Fiはありません。

 高価な私物は、組織内部では貴重品ロッカーと呼ばれている、施錠できる50cm四方程度の大きさのロッカーに入れなければなりません。(赤丸で囲んだ物が貴重品ロッカー)

画像は自衛官広報動画「自衛隊の ソレ、誤解ですから!」篇 Vol.1より(目線はこちらで加工したものです)

 一人に1つスタンドロッカー(右)と靴箱(左)が貸与されます。(施錠不可)
 比較のため、空の2Lペットボトルを置いています。

 あらゆる私物はこのロッカーと、シングルベッド下のスペース、貴重品ロッカーに入る量しか持てません。

外出・外泊

 外出は出来ますが基本的に8時~22時程度までの日帰りで、部屋の整理整頓や制服のアイロンがけ、靴磨き等を済ませておかなければいけません。

 主な外出先は近場の横須賀中央や横浜が多いので出先で先輩や教官などに遭遇する事がしばしばあります。(私服でも雰囲気でわかります)

 また、1年生の間は私服外出は認められません。
 当然女の子のいるお店や居酒屋等は制服で即バレする上に、学校に通報まであり得るので行けない事になります。

 回避するために出先で着替えたりしてるのがバレたらシメられた上に外出禁止になるので絶対にやめましょう。

 外泊については1年生は不可、2年生は年11回、3年生は年16回、4年生は年21回と順次年間の外泊可能数が増えていきますが、成績や生活態度が良くないと許可が出ませんし、部活動、部屋や廊下の清掃、制服や迷彩服のアイロンがけ等が忙しく外泊回数を使い切る事は稀でしょう。

まとめ

 細かい事を色々と書きましたがざっくり
起床→点呼→朝食→清掃→朝礼→授業→昼食→授業→訓練→部活→夕食→自習→点呼→清掃→就寝
 といった生活を4年間続けます。

 「経済的に厳しいけど、給付型の奨学金が貰えるほど頭も良くない…でも、どうしても大卒資格が欲しい」という人や「将来幕僚長になって自衛隊を背負って立とう!」というアツい理由でもない限り絶対におススメしません

 特に「大卒資格が欲しい」という理由で入学する方ですが、在学中の就職活動は禁止されているため、3月に卒業してから就職活動する事を強いられます。どうしても空白期間が出来るのは避けられないと思ってください。

 また、任官辞退(卒業後即退職する事)は非常に強い引き留めをされます。上記の空白期間の事もあり相当の覚悟がないと、なし崩し的に残留する事になるでしょう。

 防大は確かに出世コースではありますが、一般幹部候補生という大卒からの採用区分で自衛隊に入っても陸将(幕僚長を除き1番上の階級)になれます。

 また、少し前にあった上級生が下級生の陰毛を燃やすいじめや、性風俗店の強制など昭和の自衛隊の悪しき伝統をそのまま受け継いでいるような学校です。

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 青春を捨ててまで入学する程の価値は余り無いと言えるでしょう。

1番伝えたかった事

 主に金銭的なメリットがあるけど防大に行くよりは、普通の大学に行って
彼氏or彼女作ってキャッキャウフフした方が絶対に良いよ!という事を皆さんに伝えたかったのです。

 外出や様々な趣味も制限され、19~22歳という人生の1番楽しい期間をドブに捨てるようなものです。失われた青春は2度と戻りません。

 防大に入ってしまったら殆どの人はそのまま自衛隊に就職し定年まで働く事になります。

 自衛隊は基本的に忙しいですし、変則的に特別勤務や訓練もあります。

 定年後に再就職をしなかったとしても、次に自分の時間がたくさん取れるようになるのは50代後半です。

 大学生なら許された無茶や失敗、挑戦は流石に出来ない年齢です。

 防大に入るのであれば世間一般の大学生の楽しみを捨て、一生を自衛隊に捧げる覚悟を決めて入学してください。

防衛大学校公式HPリンク

内容は重複する部分が多いですがソースを載せておきます。
防衛大学校公式HP
受験生のための防大相談室

防衛大学校規則PDF

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