国家公務員倫理規程事例集 (平成24年増補版)

 国家公務員倫理規程事例集(平成24年増補版)をAIが読めるようにHTML化しました。一言一句変えていません。

はじめに

国家公務員倫理審査会事務局では、倫理事務担当者の参考に資するため、平成13年に「国家公務員倫理規程事例集」を発行して以来、平成14年改訂版、平成15年増補版、平成16年増補版、倫理規程の一部改正を踏まえた平成17年改訂版、さらには倫理法・倫理規程制定10周年を機に平成21年改訂版を発行してきたところです。

近年の倫理審査会への照会事例をみると、利害関係者との間の禁止行為を定める倫理規程第3条に係る照会はもとより、利害関係者以外の事業者等との間における禁止行為を定める倫理規程第5条第1項に係る照会が多く寄せられています。

このような状況に鑑み、このたび、平成24年増補版として、倫理規程第5条第1項に係る事例を集めた上、これに解説を加えた事例集を作成することとしました。

担当者の方々におかれましては、平成21年改訂版と併せて、この平成24年増補版を活用されることで、国家公務員倫理規程についてより理解を深めていただきますとともに、引き続き国家公務員倫理法・国家公務員倫理規程の適正な運用について一層の御協力をお願いいたします。

平成24年3月国家公務員倫理審査会事務局

  1. 【 飲食の提供 】
    1. 〔大会後の懇親会での飲食の提供〕
    2. 〔授賞式に係るディナーでの飲食の提供〕
    3. 〔懇談会での飲食の提供〕
    4. 〔夕食会での飲食の提供〕
    5. 〔講演を行った際の昼食の提供〕
    6. 〔祝賀会での飲食の提供〕
    7. 〔新年互礼会での飲食の提供〕
    8. 〔フォーラムディナーにおける飲食の提供〕
  2. 【 シンポジウム・講演会等への出席 】
    1. 〔シンポジウムへの出席〕
    2. 〔セミナー及びレセプションへの参加〕
    3. 〔酒食を伴うシンポジウムへの出席〕
    4. 〔1泊2日の会議〕
    5. 〔講演会への出席〕
    6. 〔フォーラムへの出席①〕
    7. 〔フォーラムへの出席②〕
    8. 〔年6回開催される研究会への参加〕
    9. 〔後援している公演等への招待〕
    10. 〔ミュージカル内覧会への招待〕
    11. 〔野外フェスティバルへの招待〕
    12. 〔チャリティーコンサートへの招待〕
  3. 【 金銭・物品の受領 】
    1. 〔オーバーブッキングの迷惑料〕
    2. 〔食中毒の見舞金〕
    3. 〔研究助成金の受領①〕
    4. 〔研究助成金の受領②〕
    5. 〔原稿料の受領〕
    6. 〔レセプション出席後の記念品〕
    7. 〔モーターショーの入場券〕
    8. 〔観光大使の名刺受領〕
    9. 〔講演内容が掲載された書籍の受領〕
    10. 〔抽選による航空券の受領〕
    11. 〔任期付職員在職中の福利厚生に係る管理委託費〕
    12. 〔任期付職員在職中の弁護士会費〕
    13. 〔任期付職員となる前の企業からの記念品〕
  4. 【 旅費の先方負担 】
    1. 〔出張旅費の先方負担〕
    2. 〔スピーカーとして出席した際の宿泊料〕
    3. 〔大臣に随行する国際会議における宿泊料〕
  5. 【 その他 】
    1. 〔講師として出張した際の送迎〕
    2. 〔クルーズ船の無料利用〕

【 飲食の提供 】

〔大会後の懇親会での飲食の提供〕

問1 当省の局長が、伝統工芸に関する大会に来賓として招待されており、当該局長は来賓あいさつを行うことから、職務として出席する。

大会に引き続き、場所を移して懇親会が開催されることになっている。
当該懇親会には、全国の伝統工芸士のほか、国会議員や県知事等、来賓も含めて約500名が参加する予定となっており、着座形式(来賓は座席指定あり)で行われる。
なお、当該懇親会についても、関係者との意見交換等を目的として、当該局長は職務として出席するものである。

当該懇親会の飲食代(一人16,000円程度)については、主催者が全額負担し、すべての参加者に無料で飲食が提供される。
当該局長と主催者との間には、利害関係は存在しないが、当該懇親会について、自己の費用を負担することなく参加して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく懇親会に出席して差し支えない。

当該局長は、伝統工芸に関する大会に引き続き、多数かつ多様の者が出席する懇親会において飲食物の提供を受けること、懇親会の飲食は全ての参加者に無料で提供されること、当該局長は当該大会では来賓あいさつを行い、また、懇親会では意見交換等を目的として、職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該局長が懇親会において飲食の提供を受けたとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔授賞式に係るディナーでの飲食の提供〕

問2 利害関係のない企業が企画する賞の授賞式(着席形式・座席指定)が開催されることとなり、それに付随してディナーも提供されることとなっている。

この授賞式は毎年1回行われているところであるが、本年は当省から3名が、施策を評価され、招待されることとなった。当省では施策に関連する式典であることから、職務として出席することとしている。

当該授賞式及びディナーには250名程度の参加が見込まれており、授賞式及びディナーにかかる経費(一人当たり10,000円程度)については主催者である企業が負担するため、参加者全員が無料で招待されることとなっている。

当該授賞式・ディナーについて、当省職員が出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなくディナーに出席して差し支えない。

当該職員は、利害関係者以外の企業が企画する賞の授賞式において、当該省の施策が評価されたことに伴い招待されたものであること、参加者全員に無料で飲食が提供されること、職員は職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該職員がディナーに出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、職員にかかるディナーに係る経費が5,000円を超える場合、贈与等報告書の提出が必要である。

〔懇談会での飲食の提供〕

問3 3日間の日程で、財団法人主催の国際交流事業の一環で地方都市の視察が行われる。

期間中、各都市において、各国大使館員、県知事、地方公共団体職員、経済団体役員などを参加者とする昼食会及び夕食懇談会が催されることとなっており、当省の地方支分部局の局長等計5名が招待を受けている。
当省としては、各国の担当者に地方都市の経済及び産業の状況を説明し、意見交換等を行うことから、職員を職務として参加させたいと考えている。

昼食及び夕食懇談会の費用については、参加者全員分を主催者である財団法人が負担することとなっており、当省職員が供与を受ける費用は職員によって異なり、3,000円から14,000円である。
招待を受けている当省職員にとって、主催の財団法人は利害関係者に該当しないが、自己の費用を負担することなく当該昼食会及び夕食懇談会に出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく昼食会及び夕食懇談会に出席して差し支えない。

本件の昼食会及び夕食懇談会には、各国大使館、県知事、地方公共団体職員、経済団体役員などが出席し、透明性が確保されていること、当該省の職員だけではなく、他の参加者も同様に供与を受けること、当該省の職員が供与を受ける総額は、各国大使館員、県知事等の参加者の顔ぶれからしてそれほど高額ではないこと、当該省の職員は職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該省の職員が昼食会等に出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、利益供与を受ける額が5,000円を超える場合は、贈与等報告書の提出が必要となる。

〔夕食会での飲食の提供〕

問4 国際機関理事招へい計画の実施に伴い、業界団体主催の夕食会が行われることとなり、当省課長級職員が招待されている。
当該夕食会の参加予定者は、国際機関理事、業界団体、当該職員であり、夕食会の一人当たり費用の15,000円は主催者である業界団体側が出席者全員分を負担する。

本夕食会は、国際機関理事と業界団体職員との間で、施設視察に引き続いて、意見交換の場を提供し、人的ネットワークを深めることを目的とするものであり、かかる意見交換を通じ交流を深めることは、政策上重要なものである。

また、当省は今回の招へい計画を実施していることもあり、国際機関理事の随行として夕食会に当該職員を職務として出席させることを考えている。
当該職員にとって夕食会費用を負担する業界団体は利害関係者に該当しないが、当該職員は自己の費用を負担することなく本夕食会に出席して差し支えないか。

なお、業界団体側が負担する夕食会は今回が初めてであり、今後はあと1回行う予定のみである。

自己の費用を負担することなく夕食会に出席して差し支えない。

当該職員は、国際機関理事と業界団体職員との意見交換の場として設けられた夕食会へ国際機関理事の随行として参加するものであること、夕食会における飲食代は出席者全員分を業界団体が負担するものであること、国際機関理事等の出席者の顔ぶれからすれば、15,000円という額はそれほど高額でないこと、当該職員が業界団体側から飲食の提供を受けるのは、今回が初めてであり、今後も1回しか予定はないこと、国際機関理事の招へいを主催する当該職員は職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該職員が夕食会に参加したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔講演を行った際の昼食の提供〕

問5 参事官級の職員が社団法人の年次大会における講演の依頼を受けた。本講演は 毎年行われているもので、該当する職に就く者が職務として行っている。当該社団法人と当該職員の間に利害関係はない。

講演当日は、職務として朝から大会に出席し、講演を昼過ぎに行う予定であり、昼食(4,000円相当の弁当)が用意されることとなっている。
今回提供される昼食は他の講演者にも無料で提供されるものであるが、当該昼食の提供を受けて差し支えないか。

当該社団法人から昼食の提供を受けて差し支えない。

本件については、依頼に基づく講演に伴って昼食が提供されるものであること、他の講演者にも同様に昼食が無料で提供されること、当該社団法人から職員が受ける利益供与の額は4,000円と高額であるとまではいえないこと、当該職員は職務として講演を行うものであることを総合的に勘案すると、当該職員が当該昼食の提供を受けたとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

〔祝賀会での飲食の提供〕

問6 当省の大臣、地方支分部局の局長が、A県○○協同組合が主催する「創立60周年記念式典」及び同祝賀会への来賓として招待を受け、職務として出席する予定である。
同祝賀会は記念式典に引き続き行われ、協同組合関係企業の社長や、関係団体の長、報道関係者、県職員など200名程度が出席する。

座席は、来賓のみ指定があり、着座形式である。一人当たりの飲食費用10,000円は、出席者全員分を当該協同組合が負担する。当該協同組合と当該局長の間に利害関係はない。
当該局長は、自己の費用を負担することなく、祝賀会に出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく祝賀会に出席して差し支えない。

当該局長は、出席を依頼され、多数かつ多様な者が参加予定である透明性の高い祝賀会へ出席するものであること、出席者全員分の飲食費用を主催者側が負担すること、協同組合関係企業の社長、関係団体の長等の出席者の顔ぶれから飲食費用の10,000円はそれほど高額であるとはいえないこと、当該局長は職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該局長が自己の費用を負担することなく祝賀会へ出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。
なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔新年互礼会での飲食の提供〕

問7 当省の地方支分部局の課長が、ホテルにおいて行われる、○○協会主催の「新年互礼会」に来賓として招待を受けており、官署を代表して職務として出席する予定である。

当該互礼会には、当該職員のほか、関連の法人の理事長、弁護士など22名が招待されており(出席は14名の見込み)、会員企業等を含めて約75名の出席が予定されている。
当該互礼会は、着席形式(座席指定あり)であり、飲食費用については一人当たり9,000円程度で出席者全員分を主催者が負担する。

当該職員にとって、主催者は利害関係者に該当しないが、自己の費用を負担することなく当該互礼会に出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく当該互礼会に出席して差し支えない。

当該互礼会は新年を迎えて行われる儀礼的な会合であること、出席者全員が無料であり、当該職員だけが利益を受けるものではないこと、関連法人の理事長、弁護士等の出席者の顔ぶれから飲食費用の9,000円程度はそれほど高額とはいえないこと、職員は官署を代表して職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該職員が当該互礼会に出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。
なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔フォーラムディナーにおける飲食の提供〕

問8 当省課長級職員が、新聞社主催のフォーラムディナーに招待されており、職務として出席する。
当該フォーラムディナーには、当該職員の他に、民間企業や関係団体の幹部職員、各国大使館員、他省職員等約100名が出席する予定である。座席指定の着座形式で行われ、主催者である新聞社が、全員分を費用負担する。(一人当たり10,000円程度)
なお、当該職員にとって主催者は利害関係者に該当しない。

当該職員は、自己の費用を負担することなく当該フォーラムディナーに出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく当該フォーラムディナーに出席して差し支えない。

当該職員は、民間企業や団体の職員など多数かつ多様の者が参加する透明性の高いフォーラムディナーへ参加するものであること、全員が無料で参加すること、各国大使館員等の出席者の顔ぶれから一人当たり10,000円はそれほど高額であるとはいえないこと、当該職員は職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該職員が当該フォーラムディナーに出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。
なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

【 シンポジウム・講演会等への出席 】

〔シンポジウムへの出席〕

問9 財団法人が主催する国際シンポジウムが2泊3日の日程で行われることとなり、当省の審議官級職員が職務で出席し、我が国及びA国の官民の関係者と共通の関心事項について率直かつ建設的な意見交換を行う予定である。

参加者は72名であり、その内訳は、政府関係者4名、民間企業54名、学術関係者7名、その他国際機関等7名の予定である。

参加費用については、政府関係者と学術関係者については、宿泊代及び食事代込みで500ドル、その他の者は、2,450ドルとなっている。これは、政府関係者や学術関係者が参加しなければシンポジウムの意義そのものが損なわれてしまうことから、政府関係者及び学術関係者については500ドルだけを徴収し、差額は主催者が負担するものである。

当該職員にとって主催者は利害関係者に該当しないが、提示された500ドルのみを支払って当該シンポジウムに参加して差し支えないか。

500ドルのみを支払って、当該シンポジウムに参加して差し支えない。

当該職員は、依頼に基づきA国の関係者と共通の関心事項について率直かつ建設的な意見交換を行う目的でシンポジウムに参加するものであり、また、主催者側は政府関係者の参加を確保し、シンポジウムの目的を達成するために費用の一部を負担するものであること、当該職員のみならずA国の政府関係者及び学術関係者についても同様に参加費は500ドルであること、当該職員は職務として参加するものであることを総合的に勘案すると、当該職員が当該シンポジウムに出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。
なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔セミナー及びレセプションへの参加〕

問10 都内ホテルにおいて、法律事務所が主催する顧客企業を対象としたセミナー及びその後に行われるレセプションに、当省の課長級職員1名が招待されている。

セミナーの参加者は約100名、レセプションの参加者は約400名であり、いずれも参加者全員の費用は無料となっている。レセプションは立食形式で一人当たりの飲食費用は約10,000円が予定されている。

当省としては、当該セミナー及びレセプションに参加することは、所掌事務に関する職務上の知識を得られ、かつ、有効に意見交換・情報収集を行える好機であると考え、当該職員を職務として参加させたいと考えている。

主催の法律事務所は利害関係者に該当しないが、当該職員がセミナー及びレセプションに参加して差し支えないか。

自己の費用を負担することなくセミナー及びレセプションに出席して差し支えない。

当該セミナー及びレセプションは、当該省の所掌事務に関する職務上の知識を得られ、かつ、有効に意見交換・情報収集が行えるものであること、また、セミナー及びレセプションともに、多数の者が参加するものであること、当該セミナー及びレセプションは参加者全員が無料であること、当該職員は職務として参加するものであることを総合的に勘案すると、当該職員がセミナー及びレセプションに参加したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、レセプションの飲食に係る金額が5,000円を超えるため、贈与等報告書の提出が必要である。

〔酒食を伴うシンポジウムへの出席〕

問11 利害関係のない社団法人が主催するシンポジウムが開催される。

このシンポジウムには当省政務三役及び各種法人・企業の代表がスピーカーとして出席し、所掌する政策に関するディスカッション等を行うものである。参加希望者(定員150名)は同社団法人のホームページにおいて申込を行い、会費は10,000円である。同シンポジウムは、着座形式(座席指定なし)であり、酒食を伴いながらスピーチ及びディスカッションを聞くものである。

同社団法人から、当省の事務次官、官房長、局長級職員等に無料の招待券が送られているが、当省以外に民間企業関係者に対しても無料の招待券が送られている。
これらの職員は、出席する政務三役のサポート及び有識者のスピーチ等が所掌する施策の企画・立案を行う上で有益であることから、職務として出席する予定である。

当該職員は、自己の費用を負担することなく当該シンポジウムに出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく当該シンポジウムに参加して差し支えない。

当該職員は、政務三役のサポート役として出席するものであり、また、施策の企画・立案を行う上で有益であるシンポジウムに出席すること、利益の供与額は10,000円であり、それほど高額であるとはいえないこと、今回が初めての招待であり、繰り返し招待を受けているわけではないこと、当該職員は職務として参加するものであることを総合的に勘案すると、当該職員が当該シンポジウムに出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔1泊2日の会議〕

問12 当省課長級職員が、利害関係のない企業が毎年1回開催する、産業界、学界、官界、言論界などの第一線で活躍している40代、50代の若手有識者が集まる会議に年次休暇を取得して参加したいと考えている。

会議のメンバーは会社経営者、大学副学長、マスコミ関係者、国会議員等の約100名から構成されており、会議の運営はすべてメンバーによって自主的に行われている。

当該会議は、主催者の企業の研修施設を使用する。同企業の支援により、利用中の食事と宿泊料は原則として無償となっているが、特に実費支払いを希望する参加者については1泊4食分の実費12,000円を請求する運用となっている。

当該職員は、自己の費用を負担せずに当該会議に参加して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく当該会議に参加して差し支えない。

当該会議は、産業界、学会、官界、言論界の多様なメンバーにより構成されたものであり、透明性が確保されていること、参加者全員が無償で参加できる会議であり、当該職員だけが特別の扱いを受けているわけではないこと、当該会議は年1回の開催であり頻度も高くないこと、会社経営者、大学副学長等のメンバーの顔ぶれからすると1泊4食の費用12,000円は特段高額なものではないことを総合的に勘案すると、当該職員が自己の費用を負担せずに当該会議に参加したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔講演会への出席〕

問13 当省に対して、民間企業が主催する当省の所掌事務に関する講演会への招待があり、担当する課の課長補佐級の職員を職務として出席させる予定である。講演会の主催者は、所掌事務に関する内容の講演会や研修会等を実施する企業であるが、利害関係者ではない。

当該講演会に出席する場合、公募による一般客については9,000円のチケットが必要であるが、当該職員を含めた招待客(250人中、業界団体の企業の従業員等80~90人)については主催者が負担する。

当該職員は自己の費用を負担をすることなく、講演会に出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく講演会に出席して差し支えない。

当該職員は、聴講を依頼され、職務上有益な講演会へ出席するものであること、当該職員以外にも無料で招待を受けている者が多数存在していること、当該職員は職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該職員が本件講演会に出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、シンポジウムや講演会等に組織として招待され、職務命令により職員が出席したような場合、参加費については、個人に対する財産上の利益の供与に当たらないことから、贈与等報告書の提出は不要である。

〔フォーラムへの出席①〕

問14 都内ホテルにおいて行われる利害関係者に該当しない非営利団体が主催するフォーラムへの出席依頼が当省にあり、課長級職員を出席させる予定である。

主催者にとって、行政当局に対して業界の声を届けることは、特に重要な役割であることから、当省の職員を当該フォーラムに招待したいとのことである。
当省としても、関係業務の最新の動向を把握しておくことは必要なことであることから、職員を職務で出席させたいと考えている。

当該フォーラムへの参加は、インターネットを通じて募集し、参加費は、会員6,000円、非会員7,000円であるが、当省の職員のほか、他省の職員及び関係団体の職員については、主催者から無料招待をしたいとの申出があった。
なお、フォーラムの参加者は、会員、非会員の幅広い関係者数百人程度になると思われる。

当該フォーラムの招待を受け、職員を無料で出席させて差し支えないか。

自己の費用を負担することなくフォーラムに出席させて差し支えない。

当該職員は、主催者からの依頼に基づき、数百人という多数の者が参加する、広く公開されたフォーラムへ出席するものであり、主催者にとっても、行政当局にフォーラムに出席してもらうことは非常に有意義であることから、無料招待しようとするものであること、当該職員以外にも無料で招待を受けている者が一部いること、当該フォーラムの参加費は6,000~7,000円とそれほど高額であるとはいえないこと、当該職員は職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該フォーラムに無料で出席させたとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、シンポジウムや講演会等に組織として招待され、職務命令により職員が出席したような場合、参加費については、個人に対する財産上の利益の供与に当たらないことから、贈与等報告書の提出は不要である。

〔フォーラムへの出席②〕

問15 利害関係のない財団法人が主催するフォーラムが開催されることとなり、当省の所掌業務に関するフォーラムであることから、当省担当職員2名が出席を希望したところ、当省職員については参加費(2,000円)は無料であるとの回答があった。

本フォーラムは、制度や運用に深く関わっている団体については参加費を無料としており、当省の他に、関係独立行政法人、関係団体の職員が無料で出席でき、賛助会員(年会費を支払っている者)も無料で出席できるとのことである。他省庁、他法人、企業については賛助会員でない限り有料である。

なお、当該フォーラムは、所掌業務に関するフォーラムであり、当省職員の職務に有益であることから、当省職員は職務として出席する予定である。

当省職員が本フォーラムに無料で出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなくフォーラムに出席して差し支えない。

当省職員は、賛助会員でないにもかかわらず、無料で出席するものだが、フォーラムの趣旨から制度や運用に深く関わっている団体については無料としており、職員以外にも無料で出席できる者もいること、参加費2,000円はそれほど高額ではないこと、当該フォーラムは職務に有益であることから、当該職員は職務で出席するものであることを総合的に勘案すると、当該フォーラムに無料で出席したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

〔年6回開催される研究会への参加〕

問16 当省A局が所管している社団法人では、毎年6回、実務研究会を開催して実務に関する問題等に関する研究を行っている。

例年、当該社団法人から、当省に対して研究会への参加依頼があり、これまでは受講料を支払って参加していたところであるが、今般、先方から当省の地方支分部局所属の職員に関しては受講料を無料にしたいとの申出があったところである(無料化の理由は不明。A局の職員等その他の職員については引き続き有料。)。

なお、一般の者が当該研究会に参加する場合には、3,000円の受講料が必要となる。
当該社団法人とA局との間では利害関係があるが、当該地方支分部局との間では利害関係はない。

地方支分部局所属の職員は、職務として当該研究会へ出席する予定であるが、無料で当該研究会に参加させて差し支えないか。

地方支分部局の職員について無料とする合理的理由が明らかでない以上、同一の職員が以後の研究会に無料で参加し続けるのであれば、倫理規程第5条第1項に該当する可能性がある。

当該地方支分部局の職員は、参加依頼に基づき職務に有益な実務研究会へ職務として参加するものであり、1回当たりの費用も3,000円と高額ではないが、これまでは有料で参加していたもので、今回の無料化の理由は不明とされていること、当該研究会は年6回と高い頻度で行われることを総合的に勘案すると、同一の職員が以後の研究会に無料で参加し続けるのであれば、倫理規程第5条第1項に照らして問題となる可能性がある。

なお、仮に毎回参加職員が異なる場合であれば、同一の職員が頻繁に利益を受けることには当たらないため、倫理規程上の問題とはならないものと考えられるが、地方支分部局という組織として頻繁に利益を受けることにもなることから、国民の疑惑や不信を招くおそれがあることに留意する必要があると考えられる。

〔後援している公演等への招待〕

問17 日本とA国の文化交流事業の一環として、A国の古典舞踊の日本公演が行われることとなった。当該公演は、公演の実行委員会、新聞社等が主催し、A国大使館が共催、当省のほか、複数の政府機関が後援している。また、当省大臣が公演実行委員会の名誉委員として就任する。

日本公演に先立って、国会議員、マスコミ関係者、文化人、A国大使館関係者等約3,000人を招待し、プレビュー公演及び立食パーティーが行われることとなり、当省からは大臣のほか、担当課の職員が招待されている。

通常、当該公演を鑑賞するには一人当たり8,000円~20,000円程度のチケット代が必要となるが、今回のプレビュー公演は、招待客全員が無料で参加できることとなっている。
なお、当該職員と、主催者との間に利害関係はない。

当該公演は当省が後援しているものであり、また、大臣に随行する職員を派遣する必要があることから、職員を職務として参加させたいと考えている。
自己の費用を負担することなく当該プレビュー公演及び立食パーティーに参加して差し支えないか。

自己の費用を負担することなくプレビュー公演等に参加して差し支えない。

当該職員は、当該省を含む複数の政府機関が後援する文化交流事業の一環であるイベントへ出席するものであること、プレビュー公演及び立食パーティーには国会議員、マスコミ関係者等約3,000名という多様かつ多数の者が無料で招待されていること、このような招待が頻繁に行われるとは考えにくいこと、大臣に随行する職員の出席が必要であることから、当該職員は職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、当該職員がプレビュー公演及び立食パーティーに参加したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、後援している展覧会等の入場券の無償提供については、組織として受領し、職務命令により職員が利用した場合には、贈与等報告書の提出を不要として取り扱っており、本件についても、同様の取扱いが適当である。

一方、飲食の提供については、職務であっても、基本的に贈与等報告書の提出を求めてきていることから、本件の立食パーティーの飲食費が5,000円を超える場合は提出が必要である。

〔ミュージカル内覧会への招待〕

問18 新作ミュージカルの主催者による関係者に対する内覧会が開かれることとなり、当省の地方支分部局の局長等7名が招待されている。

当該内覧会には約600名が招待されており、当該地方支分部局の職員以外の招待者は、市長、市議会議員、メディア各社社長等である。
当該地方支分部局では、担当施策に資することから、後援はしていないものの、当該ミュージカルのPRに協力してきたものであり、当該内覧会に出席することは、今後の業務に係る意見交換を行う上でも有意義であり、職員を職務として出席させる予定である。

ミュージカル鑑賞に係る費用(通常時のチケット料金は6,000円~10,000円)は、招待者全員分を主催者が負担する。なお、職員が内覧会の招待を受けるのは、この1回限りである。

招待を受けた職員と主催者との間には利害関係はないが、自己の費用を負担することなく、内覧会に出席して差し支えないか。

自己の費用を負担することなく内覧会に出席して差し支えない。

当該地方支分部局は、担当施策に資するものとして、当該ミュージカルのPRに協力してきており、その一環の行事であり、今後の業務に係る意見交換を行う上で有意義な行事であること、市長、市議会議員、メディア関係者など多数の者が無料で招待されていること、鑑賞に係る費用はそれほど高額なものとはいえないこと、職員が主催者から招待を受けることは1回限りであること、本件内覧会には職務として出席するものであることを総合的に勘案すると、本件内覧会においてミュージカルを鑑賞したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔野外フェスティバルへの招待〕

問19 当省の職員2名(課長級職員1名、課長補佐級職員1名)が、利害関係者に当たらない事業者等である社団法人から、野外フェスティバルに招待された。当該フェスティバルは、有名アーティストらによるコンサートや、当省の所掌する分野に関する出店などが行われ、コンサート目的で1日券を購入すれば、9,000円の費用負担が発生するものである。

当省と主催者の間ではこれまで当省の所掌する分野についての意見交換を数回行ってきたところであるが、今回のフェスティバルへの招待も今後の意見交換に先だって視察を求められたものである。

今回開催されるフェスティバルへは、当該職員は職務外で参加する予定である。
当該職員は、自己の費用を負担することなく、招待状を受領して差し支えないか。

本件招待を受けたとしても、直ちに倫理法・倫理規程違反となるわけではない。

本件においては、職員は職務外で参加予定であるが、今回が初めての招待であり、繰り返し招待を受けているわけではないこと、利益供与額も9,000円とそれほど高額であるとはいえないことを総合的に勘案すると、当該職員が招待状を受けたとしても、直ちには社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

ただし、フェスティバル参加に職務上の必要性・有用性が希薄であって、省を代表して参加させるというわけではないのであれば、このような招待が度重なる場合は国家公務員であることによって私的な利益を得たものとの批判を受けるおそれがあり、倫理規程第5条第1項違反となるおそれがある。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔チャリティーコンサートへの招待〕

問20 当省の幹部職員が、利害関係者に当たらない個人事業主である音楽家から、当省が所掌する事務に関係するチャリティーコンサートへ招待(S席6,500円)された。

なお、当該コンサートの主催者の中には、利害関係者が含まれるが、今回の招待は純粋に当該音楽家個人からのものである。
当該音楽家は当省が所掌する業務に係るボランティア活動に以前から興味があり、ボランティア活動を行う中で当該職員とも面識を持ったものである。当該職員は、職務として出席する予定である。

当該音楽家からコンサートの招待券を受領して差し支えないか。

招待券を受領して差し支えない。

今回1回限りの招待であり、繰り返し招待を受けているわけではないこと、利益供与額も6,500円とそれほど高額であるとはいえないこと、当該職員は職務として出席する予定であることを総合的に勘案すると、当該職員がコンサートの招待を受けたとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

【 金銭・物品の受領 】

〔オーバーブッキングの迷惑料〕

問21 当省の指定職の職員は、海外出張に行くための飛行機をビジネスクラスで予約(旅費もビジネスクラスで支給)したが、当日、搭乗予定の飛行機のビジネスクラスがオーバーブッキングになった(座席100に対して予約150)。

そのため、航空会社がビジネスクラスを予約した者に対して、エコノミークラスへの変更に応じる者を、エコノミー振替に伴う差額に加え、航空会社の規定に基づく迷惑料40,000円を支払うという条件で50名募集した。

当該職員は、その飛行機で出張する必要があったため、エコノミークラスへの変更に応じ、航空会社から差額と迷惑料40,000円を受領した。(当該職員と航空会社との間に利害関係はない。)

差額については旅費法に基づき国庫に返納することになるが、迷惑料40,000円を当該職員が受領して差し支えないか。

迷惑料を受領して差し支えない。

本件については、オーバーブッキングによる迷惑料を受領するものであること、航空会社の規定に基づき、エコノミー座席への変更に応じた者全員に対して一律に迷惑料が支払われていること、たまたま職員がエコノミークラスへの変更に応じたことにより今回に限り支払われるものであることを総合的に勘案すると、当該職員が迷惑料を受領したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件迷惑料は、エコノミークラスへの変更に応じた乗客に全員に一律に支払われるものであること、また、慰謝料に類似した性格も認められることから、贈与等報告書の提出の必要はない。

〔食中毒の見舞金〕

問22 当省の職員が、レストランで昼食をとった後、食中毒にかかり、3日間年次休暇を取得して病院に入院したところ、レストランから実際の治療にかかった金額と同額の治療費及び見舞金を支払いたいとの申出があった。

レストランでは、食中毒になった客が入院した場合、社内規定で治療費と入院一日当たり5,000円の見舞金を支払う取扱いとしていることから、今回は見舞金については15,000円を支払う予定とのことである。

当該職員にとって当該レストランは利害関係者に該当しない。
当該レストランから、見舞金を受け取って差し支えないか。

見舞金を受け取って差し支えない。

本件については、食中毒になったことに対する当該レストランからの見舞金であること、本件見舞金は、レストランの社内規定により、国家公務員だけでなく、食中毒になった全ての者に対し支払われるものであること、たまたま職員が食中毒になったことにより今回に限り支払われるものであることを総合的に勘案すると、職員が見舞金を受領したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、社内規定に基づき一律に支払われるものであること、また、慰謝料に類似した性格も認められることから、贈与等報告書を提出する必要はない。

〔研究助成金の受領①〕

問23 当省から、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律(以下「派遣法」という。)に基づき国際機関に派遣されている職員が応募した研究内容が、学識経験者等10名により構成される研究助成基金の運営委員会による選考の結果、助成の対象となり、研究助成金100万円を受けることとなった。

当該職員が応募した研究テーマは個人的な研究として派遣先の勤務時間外に行うものであり、研究内容を報告書にとりまとめて当該基金に提出することとなる。

インターネット上に募集要領が掲載されるなど、広く研究を募集されていたもので、当該職員が応募した結果、助成を受けることとなったものであり、当該職員と助成を行う基金との間に利害関係はない。

当該職員は、当該研究助成金を受け取って差し支えないか。

当該研究助成金を受け取って差し支えない。

当該研究助成金は、当該職員が、派遣先の国際機関において、勤務時間外に行った個人的な研究に対する助成金であり、また、その選考は、学識経験者等10名で構成される運営委員会により行われ、透明性及び公正性が確保されていること、インターネットに募集要領が掲載されるなど、広く一般に公募され、選考の結果、認められれば誰でも助成を受けることができるものであり、当該職員に対して特別な便宜を図るものではないことを総合的に勘案すると、当該職員が当該研究助成金を受けたとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、広く一般に公募され、また、学識経験者等で構成される運営委員会で選考が行われるなど、選考方法に透明性及び公正性が確保されており、国民の疑惑や不信を招く恐れがないことから、贈与等報告書の提出は不要である。

〔研究助成金の受領②〕

問24 当省の研究官(特定任期付職員)が、ある大学教授と共同で学術研究を行うこととなった。

共同研究に当たり、ある財団法人が学術研究助成事業の募集を広く一般に行い研究助成金を交付しているため、当該職員は本共同研究についてその助成を受けたいと考えている。

研究助成金の交付については、選考の結果で交付の可否が決まるもので、応募すれば確実に研究助成金を受けることができるものとはなっていない。
研究助成金の額は、共同研究の場合、1件150万円となっている。
選考委員は、大学の教授等15名となっている。

助成事業の募集を行っている財団法人は当省と利害関係はないが、選考の結果、研究助成金の交付を受けることができた場合、当該職員が共同研究者の一人として当該財団から研究助成金を受け取って差し支えないか。

当該研究助成金を受け取って差し支えない。

助成対象者の選考は大学教授等15名の選考委員により行われ、透明性及び公正性が確保されていること、広く一般に公募され、選考の結果認められれば誰でも助成を受けることができるものであり、当該職員に対して特別な便宜を図るものではないことを総合的に勘案すると、当該職員が研究助成金の交付を受けたとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、広く一般に公募され、また、大学教授等15名の委員により選考が行われるなど、選考方法に透明性及び公正性が確保されており、国民の疑惑や不信を招く恐れがないことから、贈与等報告書の提出は不要である。

〔原稿料の受領〕

問25 このたび、当省の地方支分部局の局長に対し、利害関係のない事業者から機関誌への原稿の執筆依頼があった。その事業者には日ごろから当該地方支分部局の業務に協力してもらっており、原稿の内容は職員の現在の職務に関する内容を織り込むこととなっている。

執筆は職務外で行うこととし、原稿執筆に係る報酬は、400字詰め原稿用紙8枚で150,000円(一枚当たり18,750円)と高額であるが、当該機関誌には、当該事業者が第三者に執筆を依頼しているコーナーがあり、今回の原稿もそのコーナーに掲載するものであり、当該コーナーへ原稿を執筆依頼した場合の報酬額は一律この額としているとのことである。

当該職員が原稿執筆に係る当該報酬を受け取って差し支えないか。

原稿執筆に係る報酬を受け取って差し支えない。

一枚当たりの原稿執筆に係る報酬価額が18,750円と、原稿執筆に係る単価としては高額であるものの、当該職員は、依頼に基づき、勤務時間外に執筆を行うものであること、当該職員が受ける報酬額は、当該事業主が原稿執筆を依頼した場合の報酬基準額に基づいた一律の額であり、公務員に対してのみ特別の便宜を図っているわけではないことを総合的に勘案すると、当該職員が原稿執筆料を受領したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、執筆内容が、職員の現在の職務に関係するものであることから、贈与等報告書の提出が必要である。

〔レセプション出席後の記念品〕

問26 地方公共団体が主催する国際的なシンポジウムの初日に立食形式のレセプションが開催され、当該シンポジウムのために出張していた当省職員4名(室長、室長補佐、係長、係員)が出席した。

レセプションの出席者は、シンポジウムの参加者、スタッフ等50人程度であった。
レセプション終了後、記念品として、地方公共団体から、地元の文化を広げるために、特産の金箔を施した手箱(価格は3,000円程度)が、レセプションの出席者全員に贈られた。

当該職員にとって、主催者の地方公共団体は利害関係者に該 当しないが、当該記念品を受け取って差し支えないか。

当該記念品を受け取って差し支えない。

当該職員は利害関係のない地方公共団体が地元の文化を広めるために贈る記念品を受領すること、記念品はレセプションの出席者全員に贈られていること、記念品の価格は3,000円とそれほど高額ではないことを総合的に勘案すると、当該職員が当該記念品を受け取ったとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

〔モーターショーの入場券〕

問27 モーターショーを主催する社団法人が、当該モーターショーの入場券(1,500円相当)を、当省局長クラスの職員に対して、10枚贈りたいと持参してきた。

当該入場券は、主催者である社団法人がPRの目的で、他省庁や民間企業にも広く配布しているものである。当該社団法人から今回のような申出があったのは初めてである。

当該職員にとって、当該社団法人は利害関係者に該当しないが、入場券を受け取って差し支えないか。

入場券を受け取って差し支えない。

当該入場券の配布の目的がモーターショーを宣伝することにあること、他省庁や民間企業にも広く配布されているものであること、本件の入場券は、今回初めて贈られるものであることを総合的に勘案すると、当該職員が本件の入場券を受領したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

〔観光大使の名刺受領〕

問28 当省の地方支分部局の局長に対し、当該地方支分部局が所在する県の観光大使に就任してほしい旨の依頼があった。当該県とは利害関係はない。

観光大使は年1回都内で開催するイベントに出席するのみで、特段の活動はないが、県のPRに資するため、観光大使になった者には、全員に観光大使の名刺が支給されるとともに、観光情報誌(定価200円程度)が年数回送付される。

なお、観光大使には、県にゆかりのある経済人、文化人等700名が就いている。
当該職員は、当該名刺及び観光情報誌を受領して差し支えないか。

当該名刺及び観光情報誌を受領して差し支えない。

当該名刺及び観光情報誌は、観光大使に任命されたことに伴い配布されるもので、もっぱら観光大使として当該県のPRのために使用されるものであること、観光大使に就任した者全員に配布されるものであること、利益供与の額も年間数百円から数千円程度とそれほど高額ではないことを総合的に勘案すると、当該職員が名刺等を受領したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

〔講演内容が掲載された書籍の受領〕

問29 当省の職員が利害関係者に該当しない出版社の依頼に基づき、職務として講演を行った。

後日、当該職員は、個人として、講演の内容が掲載された書籍を購入したい旨出版社に申し出たところ、3冊(1冊当たり3,000円)を見本として贈呈すると言われた。

職員は、当該書籍を受領して差し支えないか。
なお、書籍の受領は今回の3冊のみであり、今後の受領予定はない。

書籍を受領して差し支えない。

当該職員が書籍を受領することは今回限りであること、利益の供与額は9,000円とそれほど高額であるとはいえないことを総合的に勘案すると、当該職員が書籍を受領したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、贈与等報告書の提出が必要である
(ただし、保存、加筆、関係者への献本等のため、自分の著作物を出版社から必要部数受領した場合は不要)。

〔抽選による航空券の受領〕

問30 職務としてレセプションに出席した当省職員が、当該レセプションの行事として行われた抽選会(他国の在外公館職員、民間企業職員、大学教授等、約400名中、当選者2名)でA国への往復航空券が当選した。

抽選方法は、以下のとおり。
①招待状に同封されたチケットにあらかじめ通し番号が記されており、入場の際にチケットの半券を主催者側が回収する形で入場
②イベントの最後に、入場の際回収した全ての半券を、外からは見ることができない抽選箱に入れ、来場者の前でA国総領事が抽選箱に手を入れて中の半券を引く。
③当選番号が読み上げられても、該当者が既に帰っていたような場合は、権利放棄の扱いで再度抽選する。

上記の方法で、最初の4回は該当者が名乗り出ず、5回目の抽選で当該職員の半券の番号が呼ばれた。
景品の航空券の料金は、15万円程度と高額であるが、当該航空券を受領して差し支えないか。

航空券を受領して差し支えない。

本件の抽選は、公務員以外にも多数かつ多様の者が出席するレセプションにおいて、透明性が確保された中で行われたものであること、本件抽選にはレセプションの出席者全員が参加できたことを総合的に勘案すると、当該職員が航空券を受領したとしても、国民からの疑惑や不信を招く恐れはなく、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

上記のとおり、透明性及び公正性が確保されていることから、贈与等報告書の提出は不要である。

〔任期付職員在職中の福利厚生に係る管理委託費〕

問31 特定任期付職員として当省に採用された職員がそれまで所属していた企業では、従業員が自社株式を定期的に取得・保有し、中長期的な資産形成をするための福利厚生制度として、「持株会」というものが存在する。当該持株会に入会する者は、委託先証券会社に対し、管理委託費として年間500円を支払うこととなっているが、その分の500円は、福利厚生の一環として、当省採用前に勤務していた企業が予め職員に支払うこととなっている。

持株会は一度退会すると再入会できないことから、職員は国家公務員となるに当たって当該会を休会しているが、休会中も年間500円の管理委託費は必要である。

当該職員はいったん退職しており、その身分を失っているとはいえ、任期(2年)が終了した際には当該企業に戻ることが予定されていることから、当該企業から職員の管理委託費を民間企業等に出向している他の出向者と同様にこれまでどおり負担することとしたいとの申出があった。

なお、職員にとって当該企業は利害関係者には当たらない。
当該職員が、採用前に所属していた企業から管理委託費を負担してもらって差し支えないか。

管理委託費を負担してもらって差し支えない。

当該職員は、国家公務員として採用されており、当該企業に所属しているわけでもなく、勤務実態もないとはいえ、任期が終了した際には当該企業に戻ることが予定されていること、当該制度は福利厚生の一環として長期的な観点から行われているものであって、一度退会すると再入会ができないなど、利益供与を受けることにやむを得ない事情が認められること、当該職員に限らず、他の出向者についても当該企業が管理委託費を負担していること、利益供与の額は年間500円と高額とはいえないこと(任期中の総額は1,000円)、その頻度も年1回で合計2回と少ないことを総合的に勘案すると、当該職員が採用前に所属していた企業から管理委託費を負担してもらったとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

〔任期付職員在職中の弁護士会費〕

問32 当省において、本年4月に特定任期付職員として採用された職員(弁護士)について、当該職員がこれまで所属していた弁護士事務所から、当該職員はいったん当該事務所を退職し、その身分を失うこととなるものの、任期が終了した際には当該事務所に戻ることが予定されていることから、その者の弁護士会費(1か月につき50,000円程度)をこれまでどおり負担することとしたいとの申出があった。

当該事務所と当省との間には利害関係はない。
当該職員が、当該事務所に弁護士会費を負担してもらって差し支えないか。

弁護士会費を負担してもらうことは、倫理規程第5条第1項の禁止行為に該当する。

当該職員は、任期が終了した際は当該企業に戻ることが予定されているものの、本件弁護士会費の負担については、長期的な福利厚生の増進を図るためのものとは言い難い等、当該事務所からこのような利益供与を受ける合理的理由は乏しいこと、利益供与の額は毎月50,000円程度(年間60万円程度)と高額であることを総合的に勘案すると、当該職員が当該事務所に弁護士会費を負担してもらうことは、社会通念上相当と認められる程度を超えている。

〔任期付職員となる前の企業からの記念品〕

問33 当省において、任期付職員として採用された課長補佐級職員に対し、当該職員がこれまで所属していた企業から、勤続15周年記念として、旅行券10万円分を贈りたいとの申出があった。

当該職員はいったん当該企業を退職し、その身分を失っているものの、任期が終了した際には当該企業に戻ることが予定されていることから、他の従業員(民間企業等への出向者も含む。)と同様に取り扱いたいとのことである。なお、当該職員と当該企業との間には利害関係はない。

当該職員が、旅行券を受領して差し支えないか。

旅行券を受領して差し支えない。

当該贈与は旅行券10万円分と高額ではあるものの、当該職員は、任期が終了した際には当該企業に戻ることが予定されていること、当該旅行券は福利厚生の増進を図るもので長期的な観点から贈られるものであること、当該職員に限らず、出向者も含め要件を満たす者全員に送られるものであること、該当者に1回に限り贈られるものであることを総合的に勘案すると、当該職員が当該旅行券を受領したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、贈与等報告書の提出が必要である。

【 旅費の先方負担 】

〔出張旅費の先方負担〕

問34 当省課長級職員に対して、ある財団法人から、A国において開催される、当省の業務に関連のある内容の研究会への出席依頼があり、職員の出張旅費の実費相当額分を負担したい旨の申出があった。

当該研究会は、A国の当省に相当する機関の担当者から、ヒアリング等を行うことを主とするものであり、研究内容の専門性が非常に高度であるため、研究テーマの内容に詳しい当該職員に出席依頼をしているとのことであった。

なお、当該研究会を主催する財団法人と出席依頼を受けている職員との間では、職務上の関係はなく、利害関係はない。

当省としても、A国の担当者からヒアリングを行い、現在注目されているA国の取組の実態を調査する機会を持つことは職務上非常に有用だと考えていることから、当該職員を職務として出席させたいと考えている。

この場合、出張旅費を先方負担として出席させて差し支えないか。

当該財団法人から、旅費の提供を受けて差し支えない。

職員が依頼を受けて講師を務める場合等に出張旅費について合理的な範囲内で実費相当額の旅費を受けることは、「財産上の利益の供与」には当たらないものである。

本件の場合、A国の取組の実態を調査する非常に有用な機会であること、主催者から研究テーマの内容に詳しい職員が出席することは研究会にとって不可欠とされ、出席依頼をされて参加するものであること、出張旅費の負担は実費相当額であること、職員は職務として出張するものであることを総合的に勘案すると、当該職員が旅費の提供を受けることに合理的な理由が認められ、また、負担を受ける額も実費相当額であり、当該財団法人に出張旅費を負担してもらって差し支えない。

また、同様の理由で贈与等報告書の提出も不要である。

〔スピーカーとして出席した際の宿泊料〕

問35 当省の課長補佐級職員が、利害関係者には当たらない事業者等から、海外で開催される会議にスピーカーとして出席してほしいとの依頼を受け、職務として出席予定である。

その際、当該事業者等から、開催地の周辺には適当な宿泊施設がなく、また、当該会議は朝早くから行われることから、スピーカー(24名)全員に対し、2泊分ホテルを用意したいとの申出があった。

用意される部屋は、当該ホテルの最も安価な部屋である(1泊約25,000円)。
なお、職員の旅費法上の宿泊費は1泊19,300円である。

職員は、自己の費用を負担することなく、ホテルの提供を受けて差し支えないか。

自己の費用を負担することなくホテルの提供を受けて差し支えない。

職員が依頼を受けて講師を務める場合等に宿泊費について合理的な範囲内で実費相当額の旅費を受けることは、倫理規程第5条第1項の「財産上の利益の供与」には当たらないものである。

本件の場合、当該職員はスピーカーとして出席を依頼され、出張するものであること、また、開催地の周辺に適当な宿泊施設がなく、当該会議が朝早くから行われるため、当該ホテルに宿泊する妥当性も認められること、当該ホテルはスピーカー全員に対して無料で用意されており、公務員だけが利益を受けるものではないこと、旅費法上の宿泊費との差額も6,000円程度とそれほど高額ではないことを総合的に勘案すると、当該職員が宿泊費の提供を受けることに合理的な理由が認められ、また、本件ホテルについて負担してもらう額は実費相当額であると考えられ、自己の費用を負担することなくホテルの提供を受けて差し支えない。

また、同様の理由で贈与等報告書の提出も不要である。

〔大臣に随行する国際会議における宿泊料〕

問36 海外において開催される会議に当省の大臣が出席することとなっており、一般職の国家公務員である秘書1名が職務として随行する予定である。

当該会議は各国の担当大臣等が出席するものであり、主催者は秘書にとって利害関係者に該当しない民間事業者である。

今般、主催者側から、今回の会議への出席にかかる費用のうち、実費相当額分の宿泊費に関しては、出席者全員分を主催者側が支払うこととしたい旨の申し入れがあった。

この場合において、宿泊費用を主催者である民間事業者が支払うこととして差し支えないか。

自己の費用を負担することなく宿泊費を負担してもらって差し支えない。

職員が依頼を受けて講師を務める場合等に宿泊費について合理的な範囲内で実費相当額の旅費を受けることは、「財産上の利益の供与」には当たらないものである。

本件の場合、当該職員は、海外で開催される国際会議に出席する大臣に秘書として随行し、それに伴う宿泊費の支払いを受けること、宿泊料は会議の出席者全員に対し主催者側が負担するものであること、職員は職務として随行するものであることを総合的に勘案すると、当該職員が宿泊費の提供を受けることに合理的な理由が認められ、また、負担を受ける額も実費相当額であり、主催者に宿泊費を負担してもらって差し支えない。

また、同様の理由で贈与等報告書の提出も不要である。

【 その他 】

〔講師として出張した際の送迎〕

問37 当省職員が、地方の経済団体から経営者約30名を集めた勉強会における講師を依頼された。

当省としては施策等を地元経営者に説明する好機であることから同職員を職務として出張させる予定である。

職務であることから報酬は受けず、かつ、交通費は公費負担と考えていたが、日程が日帰りであり、近隣の空港から会場まで高速バスがあるものの2時間に1本程度と不便であることから、当該経済団体の車で送迎したいとの打診があった。

当該職員にとって、当該経済団体は利害関係者に該当しないが、車で送迎を受けて差し支えないか。

当該経済団体の車で送迎を受けて差し支えない。

当該職員は、依頼を受けて省の施策等を説明する勉強会に講師として出席するものであること、近隣空港から会場まで高速バスが運行しているものの2時間に1本程度であり、日帰りの日程では利用が難しい状況下で車の送迎を受けること、当該職員は省の施策等を説明するために職務として赴くことを総合的に勘案すると、当該職員が車による送迎を受けたとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

〔クルーズ船の無料利用〕

問38 趣味で社交ダンスを習っている当省職員が、クルーズ船内で催されるダンスショーに参加することとなった。

当該職員が通っているダンススクールの教師がクルーズ船所属のプロダンサーであることから、そのアシスタントとして参加するものである。

職員の他に、同ダンススクールの生徒2名(国家公務員ではない)も同様にアシスタントとして参加する予定であるが、主催者であるクルーズ船業者から、アシスタントとして参加する3名に対し、クルーズ代金16万円(5日間)を無料としたいとの申し入れがなされている。

職員にとってクルーズ船業者は利害関係者に該当しないが、職員は、自己の費用を負担することなく、クルーズ船に乗船して差し支えないか。

自己の費用を負担することなくクルーズ船に乗船して差し支えない。

本件は、職務外である趣味の活動において、アシスタントとして参加することによるもので、職務とは一切関係のない事業者から受ける招待であること、当該職員だけでなく他のアシスタントも無料招待を同様に受けること、クルーズ代金16万円は安価ではないものの、このようなクルーズにおける金額としては妥当であることを総合的に勘案すると、当該職員が自己の費用を負担することなくクルーズ船に乗船したとしても、社会通念上相当と認められる程度を超える財産上の利益の供与とはいえない。

なお、本件については、職務とは関わりのない私的な行為(趣味の活動)に基づくものであり、国民の疑惑や不信を招く恐れがないことから、贈与等報告書の提出は必要ない。

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