今回はコロナの影響で少し話題になったESG投資やSRI投資についてわかりやすく紹介します。
日本ではどちらかというとSDGs「Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標」の方がメジャーな感じがしますが、SDGsという言葉ができたのは2015年頃、ESGは2006年に普及しています。(ESGの概念は1920年頃にあったとされています)
SRI投資とは?
社会的責任投資(SRI:Socially responsible investment)の事で、単純に言えば「儲かりそうな事だけど社会や環境に良くない事業に投資をしない」という考え方の事です。
欧米では具体的に以下のようなものが挙げられていますが、日本ではアルコールが悪という認識はそれほど強くない為、各機関投資家の判断に依る部分が大きいです。
(1)軍需産業
(2)たばこ産業
(3)原子力産業(含む原子力発電設備)
(4)アルコール産業
(5)アダルト産業
(6)ギャンブル産業
また、悪い物を排除するだけでなく、良い部分を評価する方法として以下の基準があります。
①:地球と社会の持続可能性に配慮した投資であること。
②:①の投資プロセスや社会的な効果を、資金の提供者に開示している事。
社会的効果とは法令順守、環境、雇用、健康・安全、教育、福祉、人権、地域等への積極的な問題解決活動が挙げられます。
わかりやすく言うと、環境や地域にこんな問題があるので、弊社のこういった事業で問題解決に取り組んでいます!といった感じです。
ESG投資とは?
上記のSRI投資に共通する部分が多いのですが、
環境(Environment)
環境に配慮しているか
(二酸化炭素を大量に排出する事業や環境汚染をしていないか、再生可能エネルギーを使用しているか等)
社会(Social)
社会に貢献しているか(地域への貢献、労働環境の改善、教育や福祉等の公共性の高い事業、女性の活躍など社会の役に立てる事業をしているか)
企業統治(Governance)
利益を上げられる経営方針の下、ブラック企業化や粉飾決算などの不祥事を防止する企業運営が出来ているか
という3要素を考慮した投資の事で、環境への配慮や社会の為になる事業に投資をして、世の中を良くしていこうとする投資の方法です。
SRIとESGは何が違うの?
当初は、倫理的な条件を追求するのがSRI投資、利益を追求する性質が強い物をESG投資と分かれていましたが、最近ではどちらも両立できるという意見が多く、殆ど同じ物と認識されています。
SRIとESGの問題点
これらの投資は成果が出るまでに非常に長い時間がかかるので、年金の運用と相性が良いのですが、年金運用者には受諾者責任という「利益を最優先しなさい」というルールがあります。
SRIやEGSを考慮するという事は、利益の最大化を諦める事に等しい事なので長く論争の種になっていました。
しかし、2006年4月に世界最大の年金基金であるカルフォルニア州公務員退職年金基金が「年金運用に環境及び持続可能性を考慮することを求めている責任投資原則」に署名したことから、SRIやESGに基づいて運用しても問題ないという認識が広まりました。
現在では利益最優先の投資より、ややパフォーマンスが落ちる程度の問題がある程度ですが、気になる方も多いようです。
投資の神様、ウォーレン・バフェット氏の考え方
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、世界一有名な投資家(私調べ)で、投資の神様と名高いウォーレン・バフェット氏が、新型コロナウィルスの流行で落ち込んだアメリカの航空会社の株を全て損切り売却した事で少し話題になりました。
その投資の神様は、ESG投資に対して余り良い感情は持っていないようです。
バフェット氏はこともなげに言ってのけます。「税メリットがなければ、こんなこと(風力発電への投資)はやらないでしょう」
「社会的に影響力のある大企業として、社会にとって“良き行い”をすべきでは?」
このような指摘に対してバフェット氏は答えます。「難しい話ですね。大企業20社をあげてごらんなさい。私にはその20社の企業活動のうち、どれが“ベストな行い”なのか判断できません。私は実際に20の上場企業で取締役を務めてきましたが、それぞれの企業がやっていることを評価するのは、とても、とても難しいことです。私はキャンディーが大好きですが、このキャンディーは私にとって“良いもの”ですか? 私には分かりません」
楽天証券 バフェットが警告。投資家とESG投資の付き合い方
バフェット氏は株を持ち続ける投資スタイルの為、ESGの内SとGが出来ていないと投資をしない事から、あまり気にせずとも問題ない事かもしれませんが、Eの部分については否定的な意見を持っているようです。
まとめ
確かに、エネルギーや環境問題については政府が主導で行うべきで企業が負担するべきではない。というバフェット氏の意見はよくわかります。
しかし、近年世界的に頻発している異常気象は温暖化などの環境変化が原因ではないか?という意見も多く、余り楽観視していられる状況でもありません。
SRI投資やESG投資は、寄付とは違い将来的に増えて帰ってくる見込みが高い為、懐が痛むような案件ではありません。
もし私の記事で少しでも投資に興味が湧き、iDeCoや積み立てNISAをやってみよう!という方がいらっしゃいましたら、少しだけでも良いのでSRIやESG関連の投資信託を買って頂ければ幸いです。
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