自衛官になりたくても自衛隊には色々な入り方(採用区分)があって、どれが良いのかよくわかりませんよね?
そんな方のために今回は主な3つの採用区分について説明します。
が、私の考えを先に言わせてください。
私は「自衛官候補生として入隊し任満金を貰って民間に就職する」というプランを、強くお勧めします。
自衛官候補生
試験で求められる学力は高卒程度で、陸は2年更新、海空は初回3年更新で2回目以降は2年更新の契約社員のようなものです。(任期制隊員と言います)
契約更新は最大3回の4任期(8年)まで可能ですが、殆どの人は3任期以内に退職するか曹候補生試験に合格し3曹になります。
6~8年しか仕事に就けないため人気がありませんが、1任期満了ごとに特例の退職手当(通称:任期満了金、任満金)が支給されます。
1任期満了時は56万程度ですが、2任期満了時は140万程度が支給されます。
このお金は定年退職金の先払い的な意味があるため、陸曹になり30代くらいで退職するよりも遥かに良い金額になります。
細部については別記事で説明しますが、やりたい事があり20代半ばでまとまった資金を調達するには、この方法が1番良いと思います。
自衛官候補生について解説している自衛隊のHPも紹介しておきます。
一般曹候補生
自衛官候補生が契約社員なのに対しこちらは正社員として採用されます。
試験で求められる学力は高卒程度ですが、自衛官候補生より難易度は上がります。
しかし、一般曹候補生になれても必ず3曹になれるとは限りません!
(意味わかんないですよね)
※3曹:自衛隊の階級の1つで、ここから上の階級は定年まで勤務できる
内部試験(勉強+体力)の点数や日頃の勤務状況等を加味し、優秀な者から3曹になれますが、枠が無いとどんなに優秀でも3曹になる事は出来ません。
令和元年採用の10人を1期、令和2年採用の10人を2期とします。
1期の隊員が令和元年の内部試験を受け、その年は枠が3人分有ったので1期の上位3名が3曹になれました。
令和2年に2期の隊員が10人入ってきて合計17名で内部試験を受け、上位7名を1期の隊員が独占していたとします。
しかし枠は期別ごとに割り振られるので、1期の枠が2つ、2期の枠が3つある場合1期は上位2名が合格し、8位以下の2期の上位3名が合格となります。
枠は年々減っていき、1期の隊員が全員3曹になれていなかったとしても枠が来なくなる事はあります。
一般曹候補生として採用されたら、入隊直後から頑張って良い意味で目をつけて貰い、部隊配属後も体力錬成や勉強に励み、期別の枠が多い内に3曹にならなければ「もう君の期は枠来ないだろうから退職した方が良いよ」と言われます。(大体入隊後6年で言われる)
一般曹候補生は任満金も貰えないため、そうなると良い事は1つも無いまま退職させられます。
この制度は良くないので早急に是正して貰いたいです。
自衛隊幹部候補生
大卒資格が無いと受けられず、試験でも大卒レベルの学力が求められます。
入隊後約1年で3尉(院卒は2尉)になり、努力次第で将(1番上の階級)まで行けるエリートコースです。
今のところ幕僚長は防大出身者しかいませんが、幕僚長になるには本人の努力だけではなく「運」も多分に絡んでくるため、幕僚長にならなくても良いのであれば防大よりこちらをオススメします。
とはいえ、そこまで辿り着くには数多くの試験を乗り越え、教育入校で良い成績を収め、人柄が良く同期からの信頼も厚くないとなる事は出来ません。
また自衛隊は縦割りの階級社会ではありますが、何の知識や経験もない新米幹部は多忙な部隊に配属されてしまうと、古参の隊員にいびられるのは日常風景です。
一握りの運が良い人は大切に育てられる部隊に行けますが、大抵の人は配属直後から古参の部下と上司に色々言われ中間管理職の苦しみを味わいつつ、大量の仕事を任されます。
仕事は意地悪で押し付けられる物でなく、昨今の自衛隊は幹部不足が深刻で一人当たりの業務がとても多いです。
「せめてこれくらいはやって欲しいな…」の量が多いだけで、その先輩はさらに多くの仕事を抱えています。
偉くなれば改善されるのでそれまでの辛抱ですが、多忙な時期に結婚すると朝7時に出勤して帰りは23時という生活も多く、私の知っている範囲では離婚している人も少なくないです。
自衛隊で偉くなりたい方は、それくらいの覚悟で入って来てください。
まとめ
他の記事を含め、自衛隊に入ってくる殆どの人が通るルートを紹介しました。
他にも航空学生や技術陸曹など、待遇が良いコースがありますが、国家資格が必要だったり募集人数が少なかったりと需要がニッチなため、今回は割愛させて頂きました。
防衛大学校と高等工科学校については、専用記事をご覧下さい。
他の採用区分について詳しく知りたい方は、リンクを置いておきますので確認してみてください。
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。