今回は、自衛隊に女性を増やす事で発生する問題についての記事です。
平成27年に施行された女性活躍推進法に基づいて「女性の雇用を促進しなさい」とお達しがでていますが、自衛隊も例外ではなく女性の比率を上げなさいと言われています。
また、俗にいう「戦争法案」可決以降、就職面での自衛隊不人気が加速したため、自衛隊は「人口の半分は女性だから、女性を活用しよう!」という具合で女性自衛官を増やそうとしています。
しかし、この施策は完全に間違いであり自衛隊の運用に様々な問題を生み出します。
今回の話の大前提
身長2,5m、体重130kgの人類最強日本人女性は存在する可能性はあります。
しかし平均値を取れば女性より男性、アジア人より欧米人の方が体格などの物理的な面で優れているのは明らかです。
今回の記事については平均値の話をしていると思って下さい。
自衛隊の女性割合の現状と今後の施策
女性自衛官の比率
平成21年3月 約1.1万人(約5.2%)
平成31年3月 約1.6万人(約6.9%)
令和 9年3月 約2.1万人(約9.0%)(目標値)
10年で約5千人増加していて、現状の「採用人員の10%を女性にする」施策を続ければ何とか達成可能なペースです。
施策の問題点について
- 受け入れ可能な設備が存在しない。
- 運用上使いにくい。
- 戦闘職種の厳しい任務に耐えられない。
- 戦闘職種と後方職種に女性比率の著しい開きができる。
- そもそも「採用枠の10%を女性用とする事」に男女差別がある。
受け入れ可能な設備が存在しない。
これは駐屯地開放日に駐屯地内に入った事のある人ならわかると思いますが、駐屯地の女性用トイレは少ないです。
自衛隊の設備は新しい建物でも10~20年前に建てられているものが多く、女性隊員用の設備は当時の4~5%を基準に作られているため、想定の2倍近い人員を受け入れるだけのキャパシティは有りません。
特に女性隊員用の生活隊舎不足は深刻で、陸士は6~8人部屋、陸曹でも3~4人部屋に詰め込まれています。
※女性隊員の生活隊舎拡張の煽りを受けて、男性も同様の扱いになっている駐屯地は増えています。
自衛隊は予算が少なく、壊れた洗濯機などを交換する事も満足に行えない程なので、新たに女性用隊舎を新設できる程の予算はひっくり返っても捻出できません。
各駐屯地で男性隊舎の間借り等で一時凌ぎをしているようですが、女性比率を9%で維持するのなら、生活隊舎の増築などの根本的対策が不可欠です。
狭い部屋に大勢の隊員を無理矢理詰め込んでいれば男性女性双方の生活環境が悪化し、その情報がネットに流れれば更に自衛隊不人気に拍車がかかるでしょう。
運用上使いにくい
人員を運用する上で管理が面倒になるという話です。
男女の隊員の寝床や風呂を、まとめて一つの施設でやる訳にはいかないでしょう。
訓練や警衛勤務で顕著になりますが、24時間行動を共にするため着替えや寝る場所を男性用と分けなければなりません。
特に演習場では、全体の1割にも満たない人員の為に2つ目の野外浴場を開設したり、寝泊りする天幕を分けたりと、男性のみで構成されているより管理の手間やコストが多くかかります。
また、純粋な肉体労働では男性隊員の方が優れており、作業見積もりをする場合は最低でも「男性隊員3名=女性隊員4名」くらいの補正をかけなければなりません。
戦闘職種の厳しい任務に耐えられない。
自衛隊全体の女性比率上昇が上昇しても、殆ど女性が配属されない職種がいくつかあります。
(1)普通科 (2)野戦特科 (3)機甲科 (4)施設科
これら普特機と呼ばれている戦闘職種と施設科は、通信、会計、武器、誘導武器などの後方支援職種に比べ、女性比率が殆ど上昇していません。
これらの戦闘職種に共通しているのは自衛隊の中でも特に怪我などのリスクが高く、重量物運搬などの高い身体能力を求められる事です。
例えば普通科であれば、20kgの荷物を背負って数日かけて100km歩きつつ、道中は自分の荷物に加え交代で無反動砲や重機関銃を背負わなければなりません。
海沿いを中心とした県内約100キロのコースを3日かけて歩く訓練で、陸上自衛隊金沢駐屯地第14普通科連隊の約300人が27日、魚津、富山の両市内を移動した。
北日本新聞社
野戦特科、機甲科、施設科などの職種では、何十kgもの部品、弾薬、装備品を扱う事が多く、女性の身体能力では手に余ります。
これらの部隊の任務を女性が達成する事は非常に難しい場合が多く、脱落すると他の隊員がカバーしなければならない事から、女性隊員にも門戸は開かれているものの配属される事は殆どありません。
また野戦特科と機甲科はケガが日常茶飯事で、肉体の欠損を伴う事故も珍しくないため、余計に女性隊員が居つき難い要因となっています。
戦闘職種と後方職種に女性比率の著しい開きができる。
これは私が現役の頃から既に始まっていましたが、職種の違いや、部隊と機関の違いで女性比率の差が酷くなっていきます。
上記③でも説明したように女性の配属に適していない職種があるため
- 体力を求められない会計科や基地通信隊
- 補給統制本部や各地区補給処、学校などの機関
- 通信、武器、誘導武器などの職種
などに女性隊員が集中します。
自衛隊全体の女性比率を9%まで増やすため、人数の多い普通科で女性が増えなければ(1)~(3)の女性比率は3~5割近くにならないと達成不可能です。
結果、戦闘職種の欠員は既存の隊員で補い、上記(1)~(3)の欠員を女性新隊員で補うような形で人員を入れ替えていかなくてはなりません。
短期間で多くの人員を入れ替えると技術やノウハウの継承が上手くいかず、今まで通りに任務が遂行できなくなる恐れが高くなります。
採用枠の10%を女性用とする事に男女差別がある
本来採用されるべき男性入隊希望者が採用されなくなる事が予想されます。
入隊希望者の成績の良い順に上から採用していくのは男女平等ですが女性用の枠を用意すると、男性というだけで本来採用されるべき人間が落ちるケースが発生しかねません。
女性活躍推進大いに結構ですが、無理矢理頭数を増やしてもあまり意味が無いのではないでしょうか。
外国軍との女性比率の差について
「女性に軍事的な行動は無理」という主張には、決まって「海外では~」といった趣旨の反論があります。
確かに、海外では女性軍人の比率が10~15%と比較的高い傾向にありますが、欧米人とアジア人には明確に体格差がある事を忘れてはいけません。
日本以外は公的機関のデータを見つけられなかったので、個人ブログなど複数のサイトから平均値を取り、比較したのが下の表です。
韓国との差が意外と大きく、男女共に日本人は体格面では世界の中でもかなり劣っていると言わざるを得ません。
体格に違いは有れど、戦闘に必要な銃や装備品の重さは概ね世界共通です。
小銃はどの国でも4kg前後、各種装具類の重さのデータは有りませんが、2倍や半分など極端に違うという事は考えにくいです。
また、日本人の体格では5.56㎜弾ならともかく、7.62㎜弾は※減装弾でないと男性でもまともに扱えないので、軍事行動は日本人男性の体格でギリギリ可能な強度の運動とみる事が出来ます。
※減装弾:通常の弾薬より火薬を減らし、反動と威力を抑えた弾。
ちなみに、韓国人は日本人より体格に優れているようですが、韓国軍の女性比率は7%程度に留まっています。
中国軍は情報を殆ど出さない為わかりませんが、毎年の採用枠を男性志願者が上回るようなので、女性比率はそれほど高くは無いと推測されます。
軍人の女性比率でよく引き合いに出されるアメリカやヨーロッパは、女性でも日本人男性に近い体格があるため女性を多く採用できるだけで、同じ事を日本でやるのは無理があります。
(外国軍でも、戦闘職種の女性比率は2%もないのが現状です)
まとめ
施策に対する私の主張をざっくりまとめると、以下のようになります。
日本人女性の体格では軍隊で求められる強度の運動に耐えられず、受け入れ施設や技術の継承、管理の複雑化という問題を抱えてまで女性隊員を無理に増やすものではない。
仮に女性自衛官比率の目標値である21,000人が女性になった場合、肉体労働の作業見積もりは25%程度減らした15,750人分くらいに見積もっておかなくてはなりません。
これは人数は減っていないのに時間あたりの作業量可能量が減っている事になります。終わらなかった仕事は作業時間を延ばして解消するしかないでしょう。
政府が打ち出した施策は真っ先に導入し、一般に普及するように努めなければならないのが公務員の辛い所です。
今はかなり普及が進んだクールビズも元々は国の施策としてスタートしたものですが、この施策とは状況が違います。
どんなに男女平等を掲げた所で男性は生理で体調不良になりませんし、女性が睾丸を蹴られた痛みを理解する事は不可能です。
考え方、能力、身体的特徴に違いがあり向き不向きがある以上、何でもかんでも無理に男女平等を推し進めると組織や所属する人員に負担がかかりいずれ瓦解します。
無理に女性の比率を増やす事に何の意味が有るのでしょうか?
性別による評価を撤廃して純粋に能力だけを評価し、組織に求められる能力が女性向きでは無いため女性比率が低い事は、男女平等です。
採用時に女性枠を作る事の方が、男女不平等につながります。
今回の記事は事実の説明ではなく、私の主張を書いたものなので賛否両論あると思いますが、宜しければ皆様のご意見をお聞かせください。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。