河野防衛大臣離任訓示

 令和2年9月17日 河野大臣離任挨拶

 一年間、皆さんにお支えをいただきましてこの一年も日本の平和がしっかりと守られたこと、本当によかったと思います。
 岸大臣に大臣の任務引継ぎますけども、 これからも国民の平和な暮らし、日本の領土、領海、領空がしっかりと守られるように引き続き御助力をお願いしたいと思います。

 この一年間、市ヶ谷をはじめ各地の部隊、 駐屯地、 基地、 視察をさせていただきました。防衛省・自衛隊の一番の資産は、そこで働き、努力をしてくれている隊員、 職員一人一人です。
 勤務環境、生活環境、 さらに向上させていく必要があると思いました。

 多少なりとも改善できたところはありますが、やはり自衛隊という組織の中でいじめ・パワハラ・セクハラ、これをなくさなければなりません。ルールの厳罰化なども行いましたけども、やはり幹部一人一人しっかりとした意識をもって、この問題に取り組んでいただきたいと思います。

 またいろんなところで女性自衛官の勤務環境、 あるいはキャリアパス、それについての不安を聞きました。不安はまだ改善をしなければならないところがたくさん残ってしまったと思います。

 これは皆さんに託しますけども、 女性自衛官が男性と同じように結婚し子育てをし、自分のキャリアを、希望をもって突き進んでいくことができる、これは女性自衛官だけじゃなく、家族、あるいは自衛隊という組織、防衛省という組織、みんなで支えて後押しをしていかなければならないことだと思います。

 そこはぜひ真剣に、これからの自衛隊の能力を維持する、 向上するためにも女性自衛官、女性職員が活躍してくれることが必要です。ぜひ意識を持って取り組んでいただきたいと思います。

 勤務環境、生活環境を改善するためには先立つものがなければできない部分はあると思います。その部分をしっかりとやるためには、 戦闘機一機、 戦車一台、 あるいは護衛艦一隻なくても、人材が生き生きと活躍できる、 そういう環境があることの方が大事だと思います。

 いつでしたか、トイレットペーパーとF-35、 どっちを買うか迷ったらトイレットペーパーを取る、そう言ったことがあります。今でもその気持ちは変わりません。

 自衛隊の一番の財産である人間が生き生きと活動できるそういう環境をしっかりと優先順位をつけて作っていただきたいと思います。

 またこの一年は、我が国は平和でありました。 しかし我が国周辺の安全保障環境は極めて厳しい、総理以下私も何度もそう申し上げて参りました。

 いざ事が起こった時に、 本当にこの国を守れる自衛隊でなければなりません。 部品がないから装備が動かない、 弾がないから撃てない、あるいは輪送手段がないから部隊を運べない、そういうことがあってはなりません。

 いざという時に計画通りに物事が進められる、計画通りに物事を動かせるようにしっかりと有事に動ける自衛隊を作っていただきたいと思います。 そのためのバックアップは私もしっかりとやらせていただきたいと思っております。

 事がないことを望みますけども、万が一、 事が起きた時には万全の準備ができている、 そう、今日も言える自衛隊でなければならないと思います。

 どうぞこれからの日本の平和と安全をしっかりと守っていただきますよう改めてお願いを申し上げ、この一年間の皆様のお支えに感謝を申し上げてご挨拶とさせていただきます。

 一年間本当にありがとうございました。

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