本隊受け入れ準備・応急支援体制の確立
展開地内に敵がいない事が分かったら、陣地を構築し始めます。
順番を付けてありますが、実際はこれらは同時並行でやっています。
- 本隊が来るまでに進めておく事
①指揮所を展張する場所や、車両を停める位置の選定及び開設
②味方の指揮所の位置の把握
③野外電話機(有線)の敷設
④歩哨の設置
⑤抵抗線の位置の選定
⑥整備所天幕の展張(整備部隊のみ)
①指揮所を展張する場所や、車両を停める位置の選定及び開設
今後の活動の拠点となる指揮所を開設するのに適した場所を選定します。
頭上が開けていない事や、道路沿いから目視出来ない場所が理想的ですが、演習場によってはそういった場所が無い所もあるため、それっぽい雰囲気を醸し出しておけば大丈夫です。
②味方の指揮所の位置の把握
指揮所は小隊ごとに開設するため、同じ部隊でもそれぞれ別の場所に天幕を張りますが、味方がどこに居るか把握しておかないと支障が出るため積極的に情報共有をしていきます。
③野外電話機(有線)の敷設
ここまでは移動をしていたため仕方なく無線で通信をしていますが、電波を飛ばすという事は敵に自分の位置を知らせているに等しい行為です。
戦場で電波を飛ばそうものなら、下手をすれば1分後には砲弾が降ってきますし、盗聴される危険性も非常に高いです。
そのため展開地内に入った後はやむを得ない場合しか電波を使えないので、野外線と呼ばれる電話線で指揮所同士を繋ぎます。
大隊以下の訓練ならこの時点で通信網を完成させますが、連隊以上の訓練だと大隊同士の展開地は離れている事が多いため、繋ぐのはもう少し後になります。
野外電話機1号 JTA-T1
展示品なので取手が折れています。
左上の写真で奥側の隊員が持っているものが、主に大隊内などの短距離の有線を敷設する際に使われることが多い、350m巻きで重量6~7kgのJDR-8Cです。(通称:ドラッパチ)
右上の写真の二人で持っているものはJRL-159/Uという、1.5km巻きで33kgもある大物です。主に大隊間の有線敷設で使用します。(通称:159)
※右上の画像には「約5㎏の絡車を運ぶ隊員」と書かれていますが、5kgなのは右端の一人で運んでいる物で、二人で運んでいるのは33kgです。
ドラッパチや右上の絡車に巻いてある有線は同じ物で野外線JWD-1/TTです。
(通称:線、ワンティーティーなど)
④歩哨の設置
索敵後に敵が入って来る事を防止するために、想定で敵が居る方向を監視する歩哨を設置します。
当初は茂みの中に電話だけ引いた簡素な物ですが、陣地構築が進むと歩哨壕の掘削や偽装が施され堅牢かつ目立たないものになっていきます。
歩哨壕の完成形
⑤抵抗線の位置の選定
歩哨の位置の選定に加えて、抵抗線の位置も選定していきます。
抵抗線とは、敵が攻めてきた際に陣地を守る防衛ラインの事で、想定される敵の方向の展開地外縁を選定します。
⑥整備所天幕の展張(整備部隊のみ)
人員と時間に余裕があれば整備所天幕を張ります。
この天幕は非常に大きくて重いので事故も起きやすく、疲労した少人数での展張作業は危険を伴います。
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