許可を取らずにしても良い副業
不動産経営
例外的に出来るものが不動産経営です、私も実際にやっていました。
ただし管理会社に任せる事が前提になります。自分で賃借人の募集や苦情の対応までしていたら仕事できませんよね?
また、公務員には通称「5棟10室500万ルール」という物があり、
①戸建てやアパートなど建物が5棟
②区分マンションなど部屋数が10室
③年間の家賃収入額が500万円
のどれか1つでも超えてしまった場合は「兼業・兼職承認申請書」という書類を出さなければいけませんが、この規模以下なら職場に何も言う必要性は有りません。
(私は義務こそ無いものの、経営開始前に所属部隊長に口頭で言いました)
しかし不動産経営にも問題があります。
不動産投資に絶対必要なローンですが、現在の国際情勢等で命の危険がある職業というイメージが出来てしまった事や、自衛官の諸先輩方の行いで、金融機関の自衛官に対するイメージは正直かなり悪いです。
不動産投資の融資をしてくれる銀行は多く有りませんし、融資をしてくれたとしても金利が高く利益が出ません。
幹部自衛官になると金融機関の悪いイメージは多少緩和されるので、自衛官になって不動産経営をしたい方は、幹部になる事をおススメします。
株、FX、投資信託、仮想通貨などの金融商品
これらは投機的な色合いが濃く、事業というよりはギャンブル的な要素が強いためか一切制限されていません。
ただし、当然ながら値動きが気になるからといって課業中に取引をすると職務専念義務違反で懲戒処分になります。
ここからは少し重箱の隅をつつくような話をするので、読み飛ばして貰って構いません。
FXはともかく、株がフリーな点はいささか疑問が残ります。
仮に10億円くらいの資産を持っている自衛官がいたとして、それだけあれば小さい会社の株を買い上げれば、筆頭株主として役員にならずに会社の経営陣に食い込み、経営方針に意見できます。
下記は国家公務員法からの抜粋ですが、第103条3項にこう書かれています
第百三条 (私企業からの隔離)
国家公務員法
営利企業について、株式所有の関係その他の関係により、当該企業の経営に参加し得る地位にある職員に対し、人事院は、人事院規則の定めるところにより、株式所有の関係その他の関係について報告を徴することができる。
この条文を自衛隊法では読み込んでいないため、該当する隊員がいたとしても自衛隊から能動的に人事院に報告出来ず、人事院から直接報告を求められるまでは株主として会社を経営していても良い事になります。
1隊員が人事院から直接声をかけられる事などほぼあり得ませんし、不適切と判断された場合も会社との関係を断てばお咎めは有りません。
現実的に10億持っている人が自衛官になるかは怪しい所がありますが、宝くじの1等前後賞含めて7億円とか貰える時代なので、現職自衛官が突然大金を手に入れる可能性は考慮するべきです。
このような昔に決められたまま何も変わっていない部分が非常に多いのが自衛隊の悪い所です。
許可を取ればやっても良い副業
家業の手伝い
実家の農家を、年次休暇(有給)を使用して手伝いに行く事は田舎の部隊では日常的にある事です。(もちろん訓練などが優先ですが)
田植え、受粉作業、取れた作物の選別作業など、忙しいピークの時期に数日休みを取って手伝いに行く事が出来ます。
無報酬が基本ですが、相手は身内のため色々とあるようです。
講演・講師
自衛官が講演を依頼されるような事はまずありませんが、許可を取れば可能です。
社会通念上疑惑を持たれない金額なら、謝礼金も受け取ることができます。
ただし、謝礼を貰った事実や金額などを所属する部隊に報告しなければなりません。
自衛隊に関する事を喋る場合は、事前に原稿を提出して広報の偉い人に許可を取らなければなりませんし、恐らくですが自衛隊に関する事でなくとも部隊で原稿はチェックされると思います。
執筆活動
これも許可があれば可能ですが、副業をする必然性が認められないと許可が出る可能性はかなり低いです。
例えば、自衛隊の広報活動に絡めた書籍を出す等の大義名分が必要です。
また、執筆活動というのは頭の中で構想を練るため、「課業中に集中して仕事をしなくなるのでは?」という疑惑の目を向けられる事になり、自身の仕事振りで一生懸命やっているアピールをし続けていく必要もあります。
まとめ
根拠が有ったり無かったりしますが、自衛官が給料以外に収入を得る事はかなり難しいです。
自衛隊に限らず、公務員は色々な事にアレルギー反応を起こしますが、副業はその筆頭と言っても過言ではありません。
世間一般では副業解禁の流れが始まっていますが、公務員の副業が解禁されるには後30年は必要だと思います。
何も考えないで仕事をして、毎月給料を貰いたい方に自衛隊は合っているかもしれません。
しかし、定年も早く色々な制限があり、キツい訓練や面倒な特別勤務も多い労働の対価としては今の自衛隊の給料は安すぎるので、もっと緩めても良いのではないかと思います。
参照規則一部抜粋
(私企業からの隔離)
国家公務員法
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
○2 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。
○3 営利企業について、株式所有の関係その他の関係により、当該企業の経営に参加し得る地位にある職員に対し、人事院は、人事院規則の定めるところにより、株式所有の関係その他の関係について報告を徴することができる。
○4 人事院は、人事院規則の定めるところにより、前項の報告に基き、企業に対する関係の全部又は一部の存続が、その職員の職務遂行上適当でないと認めるときは、その旨を当該職員に通知することができる。
○5 前項の通知を受けた職員は、その通知の内容について不服があるときは、その通知を受領した日の翌日から起算して三月以内に、人事院に審査請求をすることができる。
○6 第九十条第三項並びに第九十一条第二項及び第三項の規定は前項の審査請求のあつた場合について、第九十二条の二の規定は第四項の通知の取消しの訴えについて、それぞれ準用する。
○7 第五項の審査請求をしなかつた職員及び人事院が同項の審査請求について調査した結果、通知の内容が正当であると裁決された職員は、人事院規則の定めるところにより、人事院規則の定める期間内に、その企業に対する関係の全部若しくは一部を絶つか、又はその官職を退かなければならない。
(他の事業又は事務の関与制限)
国家公務員法
第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
(職務に専念する義務)
自衛隊法
第六十条 隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。
2 隊員は、法令に別段の定めがある場合を除き、防衛省以外の国家機関の職若しくは独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)の職を兼ね、又は地方公共団体の機関の職に就くことができない。
3 隊員は、自己の職務以外の防衛省の職務を行い、又は防衛省以外の国家機関の職若しくは行政執行法人の職を兼ね、若しくは地方公共団体の機関の職に就く場合においても、防衛省令で定める場合を除き、給与を受けることができない。
(私企業からの隔離)
自衛隊法
第六十二条 隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない。
2 前項の規定は、隊員が、防衛省令で定める基準に従い行う防衛大臣又はその委任を受けた者の承認を受けた場合には、適用しない。
参照規則リンク集
国家公務員法
第百三条(私企業からの隔離)
第百四条(他の事業又は事務の関与制限)
自衛隊法
第六十条(職務に専念する義務)
第六十二条(私企業からの隔離)
第六十三条(他の職又は事業の関与制限)
自衛隊法施行規則
第六十条(兼職)
第六十一条(在職中の営利企業体の地位への就職)
第六十三条(他の職又は事業への関与)
隊員の分限、服務等に関する訓令
15条(兼業又は兼職等の承認手続等)
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