Colabo住民監査請求結果で表3が出てきた経緯と信頼度の解説

 先日は沢山の解説記事をご覧頂きありがとうございました。
 下の記事は4日で7万アクセス以上を記録し、1記事で当ブログ開設からの全記事累計アクセス数をぶっちぎってしまい嬉しい反面やや凹んでいます。

 さて、今回も誤解・誤読が無いようできるだけ丁寧に書きますが、弊害で長くなりがちなので前回と同じく多少の誤謬を含む代わりに簡潔なまとめもご用意します。忙しい方はまとめだけでもご覧になってください。

 また、表3に限らず数字の中身の検証は資料が手元に無いので不可能です。
 暇空氏が公開している物は一度他人の手に渡っていて1次資料としての価値がない為参考に出来ません。

表3が作られた経緯

 表3が出てきた事で、都はColaboの味方をしてるというような意見も見られますが、私が確認した感じだと特にそんな感じはしません。

 というのも、今まで都のチェックが杜撰だったと思われるので、福祉保健局も「予算が2600万だから合ってればそれ以上は特に追求しないよ~」というスタンスだったと思われます。(このスタンスが適切かどうかは置いておきます)
 実績額がいくらであろうと、福祉保健局が容認しているのでColabo側も2600万に合わせた資料しか東京都に提出していないでしょう。
 実際に監査結果にもこう書かれています。

4 判 断
(3)本件契約に基づく支払について
 イ 本件精算について
事業実績額が事業所要額と同額であることについて、監査対象局の説明によれば、実際の実績額は、(表1)の事業実績額とは異なり、それ以上に生じているというのであり、(表1)の事業実績額は、実際の経費が本件委託料の上限額を超えたことから、その超えた部分は本件委託料とは別の法人Aの活動に係る財源で賄い、本件委託料の上限額までを記載することで事業実績額とし、本件精算の基礎にしたというのである。
そこで、法人Aの本事業実施に係る収支に関する帳簿、領収書その他の諸記録(以下「本件帳簿記録」という。)を調査したところ本事業の実施に必要な経費として法人Aが台帳に記録した経費(以下「本件経費」という。)は次のとおりであった。

Colabo監査結果 別添資料PDF 19~20P

 引用を要約すると、こうなります。

 福祉保健局に確認したら「実際の実績額は都に提出されてる書類よりも多いよ。けど超えた分はColaboが自腹切ってて東京都には関係ないから、委託料の上限と合わせて作った資料で清算してるよ」って言ってて、監査に役立ちそうな資料は持ってなかった。
 だから、監査事務局がColaboの帳簿や記録を調べて作ったのがこれです。

 という流れで表3が提示されています。
 表3はColaboの裏帳簿だとかそういった類のものでは無くて、監査事務局が暇空氏の主張を検証する為に独自に調査して作成した資料です。なぜ作成しなければならなかったかと言えば、既存の資料が全く役に立たず、本来それらの業務を担っていた福祉保健局が仕事してなかったからです。

表3が作られた経緯まとめ

監査事務局「住民監査請求通ったから、Colaboから出された資料見して」
福祉保健局「良いけど東京都の予算2600万に合わせた資料しかないよ」
監査事務局「は?意味わからん!こっちで調べるからもういいわ」
     「こっちで調べて出来たのがこれね(表3)」

 だいたいこんな感じです。
 「妥当でない」に引き続き違和感シリーズですが「本件精算の基礎にしたというのである」という表現も、情動的で公文書ではあまり使われません。公文書は報告文のように感情を消して無機質に書くのが普通ですからね。でも、個人的には監査事務局の驚きと呆れの感情が伝わってくるので可愛くて好きです。

表3の信頼性

 この表3を根拠に他人をぶん殴れるかと言えば…私見を述べさせてもらいますがかなり厳しいです。

 というのも、今回公表された監査請求結果はあくまでも2月28日までの繋ぎという意味合いが強く、表3はとりあえず12月28日までに何かしらの回答を出す為の叩き台です。
 叩き台と言えど、実際にやった結果は残りますから監査事務局は
 ①福祉保健局を調べた
 ②Colaboを調べて最低限体裁の整った資料を作った
 ③作った資料を基に暇空氏の主張を検証した
 ④上記3項目を決められた期限内にやり遂げた
 という、後々の住民訴訟でも使えるアリバイ作りを済ませています。

 しかし、Colaboと福祉保健局があまりにも酷かったので時間内に100%の仕事ができず、内容はガバガバです。これは監査結果にもしっかり記載があります。

エ 本件経費の検証について
次に、法人AColaboの本件経費の内容について、監査対象局からの説明聴取及び提出のあった領収書等の関係帳簿の調査、関係人調査によって検証したところ、
ⅰ)委託事業の経費として計上するに当たり不適切な点があるもの
ⅱ)委託事業の経費として計上するに当たり妥当性が疑われるもの
が認められたので、以下、それらについて示す。

(領収書について)
本事業の特性上やむを得ない事由があることは理解できるものの、証ひょう書類としての性質上、領収書として認められるか否か疑義が生じるような領収書が含められていることは不適切である。また、領収書が示されていない事項が本件経費に計上されていることは不適切である。

(事業実績額の内訳の記載について)
本件事業実績額の内訳には実際とは異なる備品や購入していない備品が記されており、実態を正確に反映せずに本件事業計画書の事業所要額の内訳をそのまま転記したものと思われるものが見受けられることは不適切である。

対象人数が不明であるものの、一回当たりの支出が比較的高額なレストランでの食事代やホテルの宿泊代、また食事代とは理解し難い物品の購入代が計上されているさらに、宿泊支援費について都外遠隔地での宿泊代が計上されていることなど、本件契約の仕様書に記載される文言そのものからは委託事業の経費として計上することに妥当性が疑われるものが見受けられる。

Colabo監査結果 別添資料PDF 23~24P

 大きく金額に影響しそうな項目だけピックアップしましたが、ちゃんと自分から経費の検証に問題点があると言っています。
 つまり表3は、不適切と思われる使途の領収書や、領収書と認められないような物、そもそも買っていない物品の金額まで積み上げてColaboが作成した帳簿を基に作成されているので信憑性に著しく欠けます。

 これは監査事務局も事前に言わないと後の住民訴訟で不利になりますからね。こうしてみると、監査事務局は今後をしっかり見据えて仕事してますね。

 「できるけどやらなかった」と「頑張ったけどこれだけしかできませんでした」では心証にかなり違いがあります。本来であればどちらも仕事を達成できていないので負うべき責任は同じですが、後者の方が情状酌量を付けやすいでしょう。

表3の信頼性まとめ

とりあえず監査請求の回答期限があるから、間に合うように叩き台の資料表3を作ったよ。
けど、表3作る時にColaboに見せてもらった資料がヤバすぎていちいち検証してる暇がなかったから、表3に妥当性が有るかまではわからん。
時間無いなりに精一杯やったからひとまずこれで許して。

 くらいの信頼度です。
 しっかり書類を読み解くと表3がマトモじゃない事は監査結果にしっかり書いてあるので、表3を根拠に殴り合うのはやめましょう。

「計上していることは確認できる」の信頼度

 この項目は察して欲しいのですが一応明文化しておきます。
 これまでに説明した通り、表3はその内容が信頼のおける領収書を基に作成されていません。
 あくまでもColaboの帳簿上では経費として積んである事は確認できる(本当かどうかは知らん)くらいの意味でしかありません。

 監査結果の1文を引用します。長いので引用は読まなくても良いです。

請求人は、本件事業計画書の事業所要額の内訳(以下「本件事業所要額内訳」という。)に記載の宿泊支援費には「3,000,000円 相談者ホテル宿泊費(1泊1万円×300泊分)」となっており、本件活動報告書には「緊急時の保護・宿泊支援」として「61名232泊」と記載されていることを根拠として、68泊分が過大に計上されている旨主張する。

本件精算の基礎となった本件実施状況報告の事業実績額の内訳(以下「本件事業実績額内訳」という。)の記載は「宿泊支援費:3,000,000円 相談者ホテル宿泊費」となっており、このことについて、本件帳簿記録を調査したところ、宿泊支援費に係る本件経費は(表3)のとおりであり、宿泊に要した1泊あたりの金額や宿泊数は本件事業計画書の記載とは異なるものの、実際に宿泊した費用を本件経費として計上していることは確認できるため、本件活動報告書に基づいて宿泊数を過大に請求しているとする請求人の主張は妥当でない

Colabo監査結果 別添資料PDF 21P

 この一文だけを読み解くと確かに下記のようになります(ここだけ切り抜きスクショやめてください)

「監査事務局が調べたColaboの帳簿」と「開示請求で入手した資料やColaboが公開した資料を基に、暇空氏が住民監査で主張している資料」を比較したところ、Colaboの帳簿では確認が取れるから暇空氏の指摘は妥当じゃないね。

 ただし、何度も言う通り表3はColaboの帳簿を基に作られていて、Colaboの帳簿はとても公的に認められるような作り方をされていません。監査事務局はそれを分かっていても1/4の発表に間に合わせる為には通すしかなかったので監査結果があのような記載になったと思われます。

「計上していることは確認できる」の信頼度まとめ

Colaboが作ったガバガバの帳簿を基に表3作って暇空氏の主張と比較したよ。
表3が正しいなら暇空氏の主張は妥当でないけど、表3が正しいとは言ってないよ。

 こんな感じです。
 「計上している事は確認できる」の信頼度はこの程度なのであまり参考にしないようにしましょう。

監査結果総まとめ(忙しい人はここだけ見ればOK)

 今までの話(前回の記事を含む)をすべて統合するとこうなります。

監査事務局「住民監査請求通ったから、Colaboから出された資料見して」
福祉保健局「良いけど東京都の予算2600万に合わせた資料しかないよ」
監査事務局「は?意味わからん!こっちで調べるからもういいわ」

監査請求の回答期限があるから、叩き台になる資料の表3を間に合わせで作ったよ。
これと暇空氏の意見を比較すると、暇空氏の意見は妥当でないね。
けど、表3作る時にColaboに見せてもらった資料がヤバすぎていちいち検証してる暇がなかったから、表3に妥当性が有るかまではわからんよ。
現状だと表3は不当な所多いから、2月28日までに福祉保健局とColaboはどこに出しても恥ずかしくない帳簿を作って、不正があったら過去まで遡って調べて返金させてね。
帳簿の付け方はこっちで指定するからそれに従ってね。

 1月4日発表の監査結果の内容はだいたいこんな感じです。
 ここからは私見が入るので解説だけ知りたい人は帰って頂いてOKです。

 資料作成期間が2月28日までと結構有るので「Colaboと福祉保健局が協力して偽の資料を作り上げるんじゃ…」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、私はその可能性はかなり低いと見てます。
 こう言ったらアレかもしれませんが、福祉保健局全体から見れば小さい事業の一つに過ぎません。担当職員だってColaboに付きっきりな訳はなく、抱えている業務は山ほどあるはずです。協力的といっても、仕事が減る方になら喜んで!仕事が増える方にはNG!といったスタンスだと思われます。
 
 そう言った理由で今まではザルで通していてもお互いにメリットがありましたが、これからは福祉保健局はそこまでColabo側に立つ事はないと見ています。
 福祉保健局は楽して仕事してる感が出せる。Colaboはザル会計でお金貰える。という関係でしたが、ここまで燃え上がってしまったら職員がワイロでも貰ってない限りは庇うメリットがありません。下手に庇うと首が飛びかねませんからね。
 私が担当職員なら下手に言い逃れをせず、素直にごめんなさいして少しでも処分が軽くなる方に動きます。(ミスという事にすれば戒告~減給くらいで済みそうなので)

 福祉保健局も監査事務局に言われてるので最低限協力はすると思いますが、暇空氏は住民訴訟をすると言っていますし、裁判に耐える程の資料を捏造する事はかなり厳しいでしょう。公文書偽造に加担してる事がバレたら一発で懲戒免職&懲役刑ですからね。
 Colaboに人生懸けるのはかなり高額のワイロ貰ってないと釣り合いません。なので、ある程度は安心して見守っていても良いと思います。

 思ったより隙自語りが長くなってしましましたが、表3と監査結果周りの解説はこれで終わります。
 解説のリクエストなどあれば、DM開放しているので下のTwitterフォロー欄かお問い合わせフォームのどちらでも大丈夫です。(ただしやるかどうかは保証出来かねます)

 前回に引き続き長文にお付き合い頂きありがとうございました。

コメント

  1. りーまん(5さい) より:

    今回もとても分かりやすい解説をありがとうございました。
    現時点で個人的に疑問に思う点があるので、お暇があれば見解を書いていただけると幸いです。

    ・監査事務局の「妥当でない」を「請求を退けた」とした新聞各社の翻訳はそもそも正しいのか?

    ・食事代やお祝い代は通常公費による費用弁償はしないが、法人Aは知らないで計上したのか、都庁が黙認していたのか、甲乙協議の結果か、実は最初から仕様書に明記されているのか?

    ・法人Aが都庁とグルで偽資料を作ることはなくとも、単独で2.28までにある程度証憑を「整備」してくるのではないか。その時証憑の真贋について都庁はどこまで掘り下げるのか?

    • 桜花 桜花 より:

      コメントありがとうございます。
      ご質問頂いた事項に対する回答は、根拠と出来る資料が手元にないので私見が含まれます事をご承知おき下さい。

      ・監査事務局の「妥当でない」を「請求を退けた」とした新聞各社の翻訳はそもそも正しいのか?
      A:正しいとも正しくないとも言えます。
      少なくとも現時点では暇空氏の主張は合っているとは言いづらいので、「退けた」と言えなくもないです。
      新聞なら「2月28日まではわからないので保留」が一番正確だと思います。印象操作の為に許される範囲ギリギリを突いて来たと読み取れなくもないですが真意は不明です。

      ・食事代やお祝い代は通常公費による費用弁償はしないが、法人Aは知らないで計上したのか、都庁が黙認していたのか、甲乙協議の結果か、実は最初から仕様書に明記されているのか?
      A:仕様書を開示請求して確認しない事にはわかりません。
      仕様書以外の仮説はほぼ立証不能なので回答できかねます。
      私個人の感想で良ければ「そんな細かいとこまでチェックしていなかった」だと思います。

      ・法人Aが都庁とグルで偽資料を作ることはなくとも、単独で2.28までにある程度証憑を「整備」してくるのではないか。その時証憑の真贋について都庁はどこまで掘り下げるのか?
      A:可能性はそれなりにあると思います。
      しかし、これだけ疑惑を向けられている中で完璧な整備をするのは非常に難しいと思われます。
      例えば税理士や公認会計士などに依頼をかければ法律ギリギリまで攻めた帳簿を整備可能だと思いますが、恐らくメチャクチャになっているであろう帳簿や領収書を完璧に整え、最悪住民訴訟にも耐えるような資料を今から2か月足らずで作らなければいけない。万が一ミスがあれば信用ガタ落ち。ただでさえ年度末や確定申告で仕事がいくらでもあり超多忙なこの時期に、マトモな事務所はこんな依頼受けません。
      住民監査も撥ね退けられなかった組織が今後の監査や裁判に耐える帳簿を整備するのはほぼ不可能に近いと思いますよ。

      どこまで深掘りするかは正直不明な部分が多いです。
      個人的には真贋の裏取りまではしないんじゃないかと思っています。
      ただ、一定の条件(対策になるため伏せます)がそろった領収書は相手先に問い合わせくらいはするかもしれませんね。全て取引先の帳簿と突き合わせるレベルまでやるのは考えにくいと思っています。

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