今回は自衛官の制限の中でも特に厳しい、兼業・兼職の禁止について説明していきます。
なぜ副業が出来ないの?
これは公務員全般について回る制限事項ですが、職務に専念する義務というものがあり、大体こんな意味です。
「公務員は勤務時間中は仕事に専念して、勤務が終わったら余計な事をしないでしっかり休み、次の勤務に支障が出ないようにしなさい」
また、自衛隊には自衛隊法や自衛隊法施行規則というものがあり、そちらでも禁止しています。
実際に処分された例などを紹介をしつつ、紹介していきたいと思います。
アルバイトやクラウドソーシング等の労働
これは具体的な事が何も書かれないまま、禁止されている事項になります。
例外として実家の家業の手伝い等は許可されていて、現職中は田植えや畑の管理を手伝い、定年後に田畑を継ぐ隊員は田舎の部隊にそこそこいます。
だからこそ「アルバイト等の労働の禁止」は納得がいかない禁止事項です。
(私企業からの隔離)
自衛隊法
第六十二条 隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない。
つまり会社の経営陣クラスの地位に就く事や、自営業を営む事を禁止する以外の事は明文化されていません。
理由は「防衛省と民間企業との間の人事交流に関する政令」という制度があり、自衛官が一時的に民間企業に出向する事があるためです。
出向や実家の手伝いは良くて、アルバイトを具体的に禁止する根拠が無いまま、通例で禁止をしている事になります。
仮の話ですが実家で定食屋を営んでる隊員が、実家の定食屋でホールをやるのはOKでその辺のファミレスでホールをやるのはNGになります。
意味が分からないと思いませんか?
これは裁判を起こせば勝ち目のある戦いなのですが、アルバイトや休日に少し働くくらいの稼ぎで裁判を起こすと普通に赤字になる事や、職場の空気が悪くなるために諦めている人が多いと思います。
実際にキャバクラでウェイターとして働いて処分された例です。
転売(せどり)
ちょっと意外かもしれませんが、マナー違反というレベルではなく自衛隊的には完全にアウトです。
年に数回、断捨離を兼ねて中古ショップに私物を売却する程度なら全く問題ありませんし、購入金額より高く売れた場合の利益が1年間で20万円未満なら確定申告も必要ありません。
しかし20万円以上の利益が出ている場合は確定申告をしなければ脱税ですし、消費者庁が定める「インターネットオークションに係る『販売業者』に係るガイドライン」に抵触する規模になると一般的に事業として行っていると判断されます。
つまり「物品を販売する事業を営んでいる」とみなされ、自衛隊法第62条の私企業からの隔離に抵触します。
さらに、未開封であっても1度購入した物は古物扱いとなりますが、古物の販売には古物営業法という法律に基づいた営業許可が必要です。
許可を取っていないと3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。(起訴されると無給の休職、禁錮or懲役刑が確定すると懲戒免職です)
許可を取った場合はその時点で古物商として開業した事になりますので、その時点で懲戒処分となります。
転売に関して抜け道は無く、自衛隊では100%出来ない副業です。
事業を立ち上げる。会社やNPO法人の役員になる。
ここまで読んで頂いた方には説明不要かもしれませんが、自衛隊法第62条に思いっきり抵触しているのでアウトです。疑いの余地はありません。
念のためもう一度貼っておきます。
(私企業からの隔離)
自衛隊法
第六十二条 隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない。
ただし、NPO法人に関しては役員となる事は禁止されていますが、
『会員』として加入し活動する事は問題ありません。
運営しているYouTubeチャンネルやブログに広告を貼る。
ブログやYouTuberも個人の趣味として、信用失墜行為の禁止や品位を保つ義務に違反しなければやる分には問題有りません。
細部についてはこちらの記事をご覧下さい。
ここではブログに広告を貼り収入を得るブロガー(アフィリエイター)や、投稿した動画に広告を付け収入を得るYouTuberなどが該当します。
このあたりについてはグレーだとかバレなければ良いとか言ってるブロガーやYouTuberの方が検索上位に沢山いますが、バレなければ良い=バレたらアウトですし、グレーと言うのは組織の判断で白にも黒にも出来るという事です。
2020/11/26 追記
現役自衛官You Tuberが懲戒処分を受けました。
詳細が気になる方は専用の記事をご覧下さい。
次のページからは出来る副業を紹介します。
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