主な部内試験や入校
基本的に自衛隊の試験は
1次試験に一般教養と自衛隊科目(服務や戦術など)の筆記試験
2次試験に体力試験と面接
があると思って問題ありません。
以下の解説は試験の名前のみ太字にしてあり、入校などは細字のままです。
陸曹候補生試験(部内)
自衛官候補生として入隊し、任期制隊員として勤務している陸士長が陸曹候補生になる試験です。
任満金の支給が無くなり、リミットも陸曹候補生として入隊するよりシビアになるのでメリットは薄いです。
陸曹候補生選抜試験
陸曹候補生が陸曹になるために受験する試験です。
成績が良くても合格枠が無いと落ちてしまうため、曹候補生として採用されても陸曹になれず自衛隊を去る曹候補生はそこそこいます。
自衛隊は1日も早くこの悪しき制度を改善するべきです。
陸曹教育隊
選抜試験合格者が教育を受ける場所です。
ここの成績次第で後の人生が決まると言っても過言では無いくらいで、卒業時の成績順で准陸尉まで昇任します。
部内幹部候補生試験
3曹任官後4年目以降かつ、36歳未満の者が幹部になるため受験する試験。
陸曹教育隊の成績が悪かった者は出世できないため、この試験で逆転する事を勧められます。
若い内に合格できれば、防大生や一般幹部候補生と互角に出世が可能です。
中級陸曹課程
2等陸曹に昇任した者が必ず入校する教育です。
令和元年度に集合教育から課程に変わり、成績が昇任に影響するようになりました。
陸曹上級課程
1等陸曹に昇任した50歳未満の者が受ける、准陸尉の昇任に必須となる教育です。
こちらは課程から集合教育に変更されているのですが、名前は据え置きのようです。
3尉候補者課程(SLC)
入校の時点で、36歳以上50歳未満の准陸尉または陸曹長が受験する試験。
原則2尉まで昇任しますが、一部の優秀者は1尉まで昇任します。
幹部候補生学校
幹部候補生が入校する学校で、ここでの成績が後の出世速度の全てを決めると言っても過言ではありません。
幹部初級課程(BOC)
3尉任官と同時に受ける教育、成績は昇任に大きく影響しません。
幹部上級課程(AOC)
3尉任官後5~6年で受ける教育。
これを修了しないとCGSの受験資格が得られません。
指揮幕僚課程(CGS)
将になるには避けて通れない関門。受験回数は4回までです。
上記AOCを修了した40歳未満の2尉~3佐の者が受験できます。
CGSの成績で陸将になるか1佐で終わるかが決まります。
幹部特修課程(FOC)
上記CGSに受からなかった者が受験する試験。受験回数は5回までです。
殆どの者が2佐止まりですが、極一部の成績優秀者が1佐になれます。
幹部高級課程(AGS)
CGSを修了した1佐~2佐から成績や勤務評定、同期の評判などから選ばれた者が受けられる教育で陸将補以上になるために必須の教育です。
入校候補者の防大や幹部候補生学校の同期には、陸上幕僚監部から書類で「防大△△期〇〇1佐は陸将に相応しいだろうか?」といったアンケートが回ってきて、書類上では見えない資質までチェックされます。
それ故、陸将補以上の自衛官は陸上自衛隊14万人中100人も居ないエリート中のエリートで、能力と人徳を兼ね備えた素晴らしい人が殆どです。(が、わりと変な人多いです)
まとめ
階級は何となく知っている方でも部内試験の事はマニアックすぎて知らなかった人も多いと思います。
意外な事に自衛隊は、陸曹と幹部のどちらでも入校や教育などの期間限定の学校や、日々の業務で規則や根拠の確認など、常に勉強し続ける事が多い組織です。
(怠って前任者の仕事をコピペしている人も多いですが)
また、陸上自衛隊で出世するためには、市ヶ谷にある陸上幕僚監部の勤務経験が無ければなりませんが、ここの勤務環境はブラック企業の比ではありません。
課業時間を過ぎてから「明日の朝イチまでにこの資料作っておいて」や、昼過ぎに「今日中にこの報告書類まとめて部長決裁貰って」などの無茶振りのオンパレードで自分の仕事が進まないのは日常風景です。
土曜の朝に帰宅し日曜の夕方に出勤する隊員も多く、平日は職場で寝泊まりするか半ば強制的に追い出されて市ヶ谷駐屯地の隣にある「グランドヒル市ヶ谷」に泊まっています。
私は陸幕の中に入った事が有りますが、職場で寝泊まりしている隊員が多いため、職場に生活感があります。
表から見えない所に簡易ベッドが設置されていたり、歯ブラシなどが置いてあったり、そこはかとなく生活臭がします。
自衛隊で出世を目指す方は、色々と覚悟して入隊して下さい。
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